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ステータス表示から始める異生活  作者: Ryo
番外 勇者編
52/56

勇者⑨

お待たせしました。

本編ではなく申し訳ないです。

明日は本編を進めます。

 剣闘場では歓声が飛び回る、ネストはその中を静かに進み、席に座る。


「お疲れネスト! すごいじゃないか、敵をありがとな!」


「え……? あ、ああ」


 ネストはどこかそっけなく、勝利をあまり喜んでない様子だった。

 これにジェスは違和感を覚え。


「どうしたんだ? 何かあったのか?」


「い、いや。 何でもないんだ」


 ネストはなかなか口を開かない。 が、ジェスは諦めない。


「俺たちはついさっき知り合ったばかりだけど、俺の中じゃもう友達なんだ! 困っている友達を心配しない奴なんかいない!」


 その言葉に何を感じたかは分からない。 しかし、ネストは 「……分かった」 その一言だけを言い、試験の閉会式場に向かった。

 閉会式では副団長のフォンが壇上に立ち、試験結果を数日後に伝えるという事や、入団後にやる事なんかを大まかに語った後、最後に 「そいじゃ、お疲れねぇ~! 気をつけて帰って!」 と手を振りながら、消えてしまった。


「相変わらず変なおっさんだな~。 ……なぁ、そろそろいいんじゃないか?」


 フォンが消えた後、会場にいた受験者たちは一斉に帰っていた、その為その場に残っているのは二人だけなのだ。

 そして、ネストは口を開いた。


「副団長と戦っている最中はよかったんだ。 でも、途中から自分の身体なのに自分じゃないみたいな……」


「確かに急に動きはよくなったけど……」


「何も考えなくていいんだ、勝手に何かが考えてくれて、それに従うだけで何でもできた。 その時は何でもできるって思いで気持ちがいいんだけど、終わってから怖くなってきちゃって……。 ミリアムの時もそうだ、僕はそれに抗えなかった」


 一通りネストから話を聞いた。


「そうだったのか。 すまない、気づくことができなかった……」


 ジェフはネストに頭を下げる、そんな姿を見て 「あ、アタマを上げてくれ!」 と肩を上げさせる。


「ジェフが悩むことなんかない! 僕が勝手に悩んでいるだけなんだから……」


「さっきも言っただろ! ネストが心配なんだ! 俺はお前の助けになって見せる、必ずだ!」


 ジェフは立ち上がり、胸に拳を当てネストの前で宣言した。

 ネストはそんな姿に、かなわないな。 といった様子で。


「分かったよ。 それじゃあ、とことん助けになってもらうぞ!」


 そして、彼はのちに勇者ネストの相棒として語られることになる、がそれは数百年もあとの話になる。


 試験は終わり、二人は岐路に着く。

 道の途中そこには馬車が一つ、近づくとそこにはなんだか懐かしい面々が。


「おお~! 終わったかネストよ!」


「待ちくたびれましたよ?」


 そこにいたのは、一国の王テリシアとその孫、アストリアだった。


「こ、こんなところで何してるんですか!!」


 ネストは慌てた様子で二人を注意する。 しかし、二人は 「ネストがいるから大丈夫!」 とだけ言う。

 もちろん、ネストは呆れた様子で二人を見つめる。 すると急にテリシアが手をたたき 「そうじゃ!」 と声を上げた。


「実はサプライズがあるんじゃ!」


 正直、サプライズはおなか一杯のネストが 「何ですか?」 と聞く。

 テリシアは 「それはのぅ~」 と長めに溜めてから手招きをする。


「よう、ネスト」


 馬車の奥から出てきたのはラビアだった。


「ら、ラビアさん! す、すみま……」


 ネストが言い終える前に、ラビアが手を出し言葉を塞ぐ。


「おめでとう。 俺じゃお前をこんな幸せにすることはできなかった」


 ラビアは話を続ける。


「前にも話したことがあったと思うが、お前の父親とは長い仲でな。 あいつが死んじまった時は本当に驚いたし、なさけねぇが泣いちまったこともあった。 少ししてから、あいつの息子が生きてるって聞かされてな、迷わずにお前を引き取ったよ。 そん時、絶対に幸せにして見せるってお前の父親に誓ったんだ。 でも、あのままじゃお前を本当に幸せにすることなんてできなかっただろう。 だからこそ、お前が王国に迎られ、そこでうまくやっていると聞かされたとき、俺はすごくうれしくてな……」


 話している間、ラビアの目には薄い涙の膜ができていた。 彼は本当にネストが幸せになるのを願っていたようだった。


「ラビアさん……。 そんな風に想っていてくれたなんて……。 せめて言わせてください! 本当にここまで育てていただき、ありがとうございましたッ!! 僕は幸せでした!!」


 その言葉を聞くと、ラビアは張っていた膜を破り、泣き出してしまった。

 小刻みに嗚咽が漏れ、必死にそれを抑え込む。


「いつでも! 戻ってきていい!! ずっと待っているからな!!」


 その後も二人は言葉を交わし、気が済むとラビアは迎の馬車に乗り、帰っていった。

 ネストも国王の乗る馬車に乗り込む。


「気は済んだかの?」


「はい。 言いたかったことも全て言えました、ここまでして頂き、ありがとうございます」


 テリシアは 「いいんじゃよ」 と言って笑ってくれた。


「とても純粋な方なのですね」


 今度はアストリアが笑ってくれた。


「はい。 僕にはもったいないくらいです……。 でも、あの人は僕を引き取りここまで育ててくれました。 感謝してもしきれないです……」


 アストリアは 「きっと、ネスト様が幸せに生き続けてくれれば、それだけであの方は心から喜んでくれますよ」 といった。


 そして夕が暮れる中、馬車は走るのだった。

ネストのもやもやが晴れましたね。

ラビアは一話の序盤に出ています。

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