勇者⑦
ジェス君と短髪の男との戦いです。
17/12/12 勇者編を番外編として移動するために、この話は一度消されました。
元掲載日 : 17/12/7 22:46
ジェスと短髪の男が対峙する。
二人は合図を待っていた、そして。
『始めッ!!』
審判の掛け声とともに、ジェスは居合切りのような攻撃を放つ。
しかし、短髪はその攻撃を避ける。
敗退していった選手たちは一斉に声を上げる。
そして、ネストも。
「すごい。 ジェスの攻撃を避けるなんて……」
ネストが驚くのは、今までジェスの攻撃に反応できたものがいなかったからだ。
ジェスはずっと、この攻撃で対戦相手を沈めてきた。
それも、すべて一撃で。
「いやぁ、やっぱ強いでしょ! 短髪の男!」
またいつの間にか副団長、フォンが座っていた。
ネストは少し驚くも。
「え、ええ。 今までジェスの攻撃を見ることができた人はいなかったんですが……」
「ふふ、君にそう言ってもらえると嬉しいなぁ~!」
え? というような反応。
実はね……、と。
「あれ、おじさんの息子なんだよね~」
「ええ?! そうなんですか……、すごいですね」
へぇ~、と深く驚いた様子でネストは答える。
すごいと言われたことに喜んじゃったおじさんは。
「まぁっね!! おじさん直々に訓練させてきたから! あのくらいの相手じゃ負けないよ!!」
その言葉に少しカチンときたネストは。
「それはどうですかね……。 ジェスも強いですよ」
「お。 それは挑戦かな? おじさんワクワクしちゃうなぁ!」
彼らはお互いに、どちらが強いかという賭けをし始めた。
その間も戦いは続く。
*****
(こいつ、避けた?! まぐれなんかじゃない……)
ジェス本人もまた、驚きを隠せないでいた。
攻撃を仕掛け、すぐに後ろに引き様子を見るジェス。
「お前。 なかなかやるな!」
「まぁな。 親父からみっちり鍛えられたからな」
へぇ。 ジェスはにやりと微笑みもう一度攻撃を仕掛ける。
上からの斬撃。 と見せかけ、そこから下に潜り込んで切り上げ。
ガァキィッ!!
ジェスの攻撃は、激しい金属音と閃光に変わる。
短髪はフェイントの攻撃を、持っていた剣で打ちおろした。
「何ッ!」
思わず声を上げるジェス。
「らぁああああッしゃああ!!!」
今度は短髪が、持っていた剣を大きく振る。
それを剣でガードしようとするジェスだが。
「がぁッ!!」
短髪の重い一撃は、ジェスを軽々く吹き飛ばす。
これによりジェスは、かなりのダメージを負ってしまう。
*****
「あ! 不味い!」
ネストは、ジェスが吹き飛ばされるのを見て声を上げる。
ジェスは元の位置から4mは飛ばされていた。
そして、剣を杖にやっと立ち上がる。
だいぶダメージがあるのか、肩を大きく上下し、剣先は震えていた。
「あらら。 ありゃ恐怖を感じてるんじゃない?」
「え?」
フォンの言う通り、ジェスはあの重く鋭い一撃に恐怖していた。
すっかり防御態勢になっている。
「このままじゃおじさんの息子が勝っちゃうね~」
ネストは見守ることしかできなかった。
*****
試合も終盤に差し掛かってきた。
ジェスの体力はダメージが追い打ちになり、ぎりぎりの状態。
それに対し短髪は、まだまだ余裕がある感じだった。
「全く……、こんな強いなんて……、聞いてないぜ」
言葉を切らせながらジェスは言う。
そして、短髪は。
「俺もここまでやれる男はあまり知らない。 そろそろ決めさせてもらう!」
そして短髪は、決着をつけるため一気に畳みかける。
それに全身全霊で受け止めるジェス。
しかし、動きはぎこちない。
恐怖か体力によるものか、危なっかしい受け止め方だった。
ここでついに……。
キィーン!
カランッカララ
短髪が放った最後の一撃。
ジェスが持っている剣を払うような一撃をする。
そして、ジェスの手の中から剣が離れ地面に音を立て落ちる。
「もうやめろ。 意地が悪い」
ジェスはその瞬間膝をついてしまう。
審判はそれを、負けを認めたと認識し。
『勝者! ミリアム!!』
こうしてジェスの試合は負けに終わった。
*****
「ほらぁ! やっぱ勝ったでしょ!」
フォンは、やっぱりね! というような当然の顔で言った。
「そう……ですね。 でも、最後は僕が敵を討ちます」
ネスト宣言する、そこにフォンは。
「へぇ~! かっちょいい!! でも息子と戦えるかわからないよ~?」
「え? どういう……」
ネストが言い終える前に次の対戦相手の名前が呼ばれる。
『次の試合! ネストとフォンス!! 前へ!!』
「は?」
ふっふっふ、といった顔でフォンは言う。
「対戦相手はおじさんで~す!! 頑張ろうね!」
そう言い剣闘場に降りるフォン。
「……分かりました。 勝ちます」
ネストも降りる。
そして、フォンと対峙する。
「絶対に勝ちますよ」
「やってみな。 おじさん、本気出しちゃうよ?」
そして。
『始めッ!!』
試合が始まる。
まさかの副団長でした。
え? みんな気が付いてた?
シッーー!




