勇者⑥
ネストのお話です。
17/12/12 勇者編を番外編として移動するために、この話は一度消されました。
元掲載日 : 17/12/3 23:38
「いたた……。 ネ、ネスト大丈夫か!」
土煙が舞う中、ネストを心配したジェスが声をかける。
「だ、大丈夫!」
少しすると煙が収まり。
気が付くとネストの目の前に、試験監の大男が立っていた。
「これをやったのはお前か」
ネストは渋々。
「は、はい……」
「そうか」
大男はそれだけ言い残し、また椅子に座ってしまった。
すると今度はジェスが。
「え。 あれってネストがやったの?」
「えっと、そうみたい?」
なんで疑問文、と笑いあう二人。
丁度審査が終わり。
「これで試験を終了する。 次の会場に行け」
そういい、一斉に移動が開始される。
会場につくと、そこにいたのは副団長だった。
「お! やっと来たね~!! 待ってたよ~ん!」
副団長は会場に集まった人たちに手をフリフリしていた。
ある程度の人たちが集まると。
「さて、大体集まったかな! いやぁ~、聞いてるよ! 今年はなかなか粒ぞろい。 ってね!!」
じゃあ早速始めちゃおうか! と言い、会場の壁に向かって魔法を放つ副団長。
ボァドーン!!!
「え、ちょおーーっ!!!!」
煙が立ち込める会場、混乱するネスト、目の前に広がったのは。
「あれここって、確か初めに集まった剣闘場……?」
ネストがそう呟くと。
「正解!! 君たちは一周して帰ってきました! そして今からここで戦ってもらいます!」
今度は大きな紙を、板に張り付ける副団長。
その紙には、ネストを含めた大勢の名前が書かれていた。
ここで、ネストは副団長に一つ質問をした。
「すみません! 僕の名前だけ上のほうにあるんですが……、なぜですか?」
「え~と、君がネスト君? いやぁ~、おじさん聞いちゃってね! 君すごい強いみたいだから、シード枠作ろうかなって!」
そしてネストはシード枠として、トーナメントに参加することになった。
「すごいなネストは!」
「あ、ジェス。 急に困っちゃうけどね……。 あはは」
「けど仕方ないよ。 あんなもの見せられたら……ねえ?」
あんなものとは、先ほどネストが見せた斬撃の事だろう。
あの場でネストのほうを見なかった者はおそらくいないだろう、そしてあんな斬撃を見たものもいなかっただろう。
「あれには僕自身も驚いちゃったよ……」
そんな話をしていると。
「それじゃあ、そろそろ始めるよ~! 第一回戦の人たちは集まってね!!」
第一回戦の選手が待機する、二人とも屈強な体をしていて強そうな雰囲気を醸し出している。
「すっごい筋肉だね~! 武器は使っていいからね! ただし殺さないこと! そんじゃはじめ!!」
戦いは始まると、長髪の男が 「うおぉぉぉおおお!!!」 と声を張り上げ、相手の短髪の男を威圧する。
短髪は武器を構えて受けの体制に入り、長髪が声を張りながら短髪に向かって行った。
長髪が剣を振りかぶって、重い一撃を短髪に放った。
短髪はその一撃を剣で受け流し、前蹴りで長髪を遠ざける。
その動きは洗練されており、長髪が汗をにじませている中、短髪は涼しい顔で戦いを続けていた。
相手の攻撃を受け流し攻撃する、どこか華のある戦い方をする男だった。
「いやぁ~、短髪の男。 なかなかやるねぇ~!」
「うわ!」
ネストの横にはいつの間にか、副団長が座っていた。
「あ、そういえば名前を言っていなかったね。 ゼリアンヌ ・ フォンスって言うんだ~! フォンって呼んでよ!」
「え、えっと。 フォンさんは何故ここに……?」
「んも~! 傷つくな~! 君に会いに来たんだよ!!」
足をバタつかせながらフォンはそう言った。
「あ、試合終わったね」
剣闘場を見やると長髪の男は膝をついていた。
「実はシード以外にもう一つ、サプライズがあるんだよねぇ~……」
「サプライズ……?」
「さて、司会に戻らなければっ!!」
颯爽とその場を立ち去るフォン。
「行っちゃった」
「なんか副団長と喋っていたらしいけど、なにかあったの?」
今度はジェスが聞いてきた。
「まだサプライズがあるとか……」
「へぇ~、なんだろうね。 なんか驚くことなんだろうな」
そこからは、再び対戦を観戦した。
何回か見ていると、ジェスの番が回ってきた。
「あ、呼ばれた! それじゃあ行ってくるよ!」
「応援しているよ。 頑張って!」
剣闘場に降り、相手と対峙するジェス。
剣を抜き深呼吸をすると、第二の試験で見せた技を使った。
相変わらず早い剣先は捉えることができず、相手を一瞬で行動不能にさせた。
判定が下されジェスが帰ってくる。
「相変わらず早いね! 相手は大丈夫そう?」
「峰内だから骨折位だと思うよ。 それからネストに比べたらまだまだだよ。 あ、次の試合が始まるみたいだ」
そしてこのまま試合は進み、とうとう4人だけが残った。
残ったのは、ジェスと最初の短髪の男、ずっとフードをかぶった男にネストだった。
試合順は、初めにジェスと短髪。
次にフード男とネストだった。
早速ジェスたちは剣闘場に降り、審判の合図を待った。
サプライズって何でしょう。




