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ステータス表示から始める異生活  作者: Ryo
番外 勇者編
48/56

勇者⑤

ネスト君の話は続きます。

17/12/12 勇者編を番外編として移動するために、この話は一度消されました。

元掲載日 : 17/11/30 00:00

 剣闘場には既に受験生が集まっていた。

 ゴツゴツのいかにも強そうな人や、ネストよりも小さい子がいたり、様々な人がいた。


「すごいんだなぁー……」


 ネストが独り言を言っていると、横から一人話しかけてくる男がいた。


「ん? お前も初めてなのか?」

「え? はい! ところであなたは?」

「俺はジェス! よろしくな!」

「ネストって言います。 よろしく!」


 ジェスは腰に剣を下げており、黒髪で短髪の少年だった。


「? ああ、この髪? 黒髪って珍しいよな」

「あ、すみません……。 ついつい……」


 茶髪や金髪等の、色素の薄い色が基本のこの国において、彼の髪色は珍しかった。

 ネスト自身も、今まで見たことがなかったため、凝視してしまっていた。


「いいよ。 気になるのはわかるし、慣れているからさ!」


 ジェスはそういい笑い飛ばしてしまった。

 ネストはというと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまっていた。

 この雰囲気を切り裂くかのように、とてもよく通る大きな声がネストの耳を貫く。


「みぃなさんっ!! よく集まってくれた!! それでは、早速試験を始めていきたいと思う!!」


 そういって出てきたのは、40代程だろうか。

 おしゃれな髭を生やしたおじさんが、両手を広げ出てきた。


「皆さん知っての通り、王国騎士団の副団長でっす! え? ノリが軽いって? 気にするな!! はははは!!」


 なんとも目まぐるしく舌を回す人だろう、とネストは感じながら話は続く。


「これから、皆さんには試験を受けてもらう! 大きく分けて三つ! 一つは筆記試験! 二つに技術試験! 三つに対戦形式の試験! とりあえず一つ目行ってみようか! 受かること祈ってるよ!!」


 そういい副団長は消えてしまった。

 ネストは。 「え? 終わり!?」 なんて叫んでいたが、周りはいたって真面目。

 筆記の試験会場があるであろう所に向かっていた。


「ネスト。 俺たちも行こう!」

「あ、うん!」


 場所の分からないネストは、みんなについていくしかなかった。

 少し歩くと少し大きな小屋のようなところがあり、みんなはその中に入っていった。

 ネストも同じように入ると、そこには長いテーブルがいくつもあり、上に用紙が置かれていた。


「ここで試験を?」

「ああ、そうだよネスト! さあ、座ろう」


 置かれていた椅子に腰を掛けるネスト。

 先ほど入ってきた扉から、一人の女性が入ってくる。


「皆さん初めまして。 私はバネッサと言います。 これから皆さんには筆記試験を受けていただきます、時間は50分間。 用意ができましたら始めます」


 そういい、皆が準備出来たとこで隣にあった砂時計を、バネッサがひっくり返す。

 ネストは食い入るように用紙を見る。 そして。


 あぁ、わからねえ。


 ネストはそこから、簡単な問題を数問答え50分間を過ごした。

 多くの人がペンを走らせる中、時間になりバネッサが 「そこまで!」 そこでピタリと静寂が訪れる。

 終わると隣にいたジェスが小声で。


「どうだった? 俺は結構答えられたけど……」

「僕は……」


 話しているのがバレて。


「そこ! 静かにしてください」


 手で口を押えるジェス。

 なはは、とかすれた笑いをしながらネストたちは、次の会場に向かう。

 そこには藁人形や丸い標的の書いてある板が並んでいた。

 そして、次の試験官が現れる。


「それでは、次の試験を始める!」


 その男。 いや、大男は大きな口を開いて喋った。


「そこにある人形や標的に、得意な技をぶつけてくれ! 私はそれを審査する!」


 そして、大男は椅子に座った。

 少しして、 「よし、やってやる!」 と何人かの人が人形や標的の前に出た。

 あるものは剣で人形をなぎ倒し、あるものは得意な魔法で標的を破壊した。

 半数の人が終わったころ、ジェスが人形の前に出る。

 彼は腰につけていた剣を取り、構える。

 そして、目にも留まらぬ速さで人形を切り捨てた。

 実際にはネストの目には留まって見えていたが、ほかの者たちには彼の動きは見えなかったはずだ。

 瞬間周りからは、 「おお~……」 という声が勝手に出てきていた。


「ジェス、おつかれ! すごいね!」

「そんなことないよ。 さあ、次はネストの番だよ!」


 と、ジェスはネストの背中を押してくれた。

 ネストは一歩前に出ると、無償で貸し出されている剣を手に取り、人形の前に立つ。

 そして、彼は普通に剣を振る。

 あくまで”普通”にだ。


 ズギャンッ!!!


 周りには砂ぼこりが立ち込め、視界が制限される。

 何が起きたのか、きっと誰も把握できていない。


 ネスト普通に剣を振ったのだ。

 しかし次の瞬間。

 振りかぶった剣から、剣筋を沿うように真空の剣が飛び出したのである。

 当然、その衝撃に耐えれず、人形は木っ端みじんに消滅し、使った剣も耐えられず、砕け散った。

 真空の剣は人形を切り裂き、そのまま地面を抉りながら壁を破壊した。

 そして真空が通り空気が切り裂かれ、そこを埋めるかのように別の空気が入り込もうとし、勢いの強い空気の流れがでた。

 それにつられるように舞っていた土やほこりが集まり、このような結果になったのだ。


 やってしまったなネストよ…………。

ゆうしゃってすごい。

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