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異世界ライフ!

お待たせしやした!!

このままの生活は不満な李糸君。

 グランツが密偵部隊に迎えられてから一週間が経っていた。

 そして、グランツの訓練を見ていたある日。


「異世界にいるけど、なーんか違うんだよなぁ」


「え? どうしたんですか?」


 李糸の言葉に疑問を呈するグランツ。

 それもそのはず。 まず普通の天使は、人間なんて見たことすらないのだ、ましてやここが異世界だなんて本人たちは思わないだろう。


「いやさ、俺が思ってる異世界じゃないんだよね。 俺が考えるのはもっとこう……。 ギルドに入ってモンスターを狩りながら冒険していく、みたいなさ」


「は、はぁ……」


 グランツは李糸の言うことを聞きはしているが、その意味を理解は出来ていないようだった。


「……抜け出してみるか」


 この言葉にはさすがに驚いたのか、一拍置いて 「え?!」 と声を出す。

 すかさずグランツの口を塞ぐ李糸。


「し、静かにしろ! 隊長に気づかれたら不味い!」


「んぐっ! でも、抜け出すって……?!」


「グランツ、お前も来るか?」


 ここで、李糸はグランツに一緒に来るかと聞いた。 グランツは当然。


「い、いえ!! 僕はそんな自殺行為したくないです!!」


 彼はもう、シェリーの恐ろしさというのを、身をもって知っている。 それゆえの即答。

 グランツの答えを聞いた李糸。


「分かった……。 ならば無理にとは言わないさ……。 俺は旅に出る!!」


 こうして、李糸の一人旅がスタートするのだった!!


「何をするって?」


「そりゃあ、ギルドに入って夢を……」


 意気揚々と語る李糸。 しかし、彼は唐突にその口を止め、代わりに冷や汗を流し始める。

 すぐ後ろには、顔を白くさせたグランツと、かわいらしい幼女が立っていた。

 当然男二人は、この幼女がいかに恐ろしいかを知っている。

 ゆえに固まって、冷や汗をドバドバと流しているのだ。


「た、隊長……」


 李糸の言う ”隊長” それの見た目は可愛らしい人形のような幼女。

 しかしその実態は、冷静冷血、幼女の姿を模した悪魔の様な天使、天界でも大天使の次に強いとされる最強天使。

 そんな彼女の部下が 「部隊から抜け出して、ギルドに入る」 なんて言ったらどうなるだろうか。

 答えはこうだ。


「うべぁへあッ!!」


 李糸の身体は、弧を描きながら空高く舞い上がる。

 それと同時に血肉が吹き飛ぶ。


「安心しろ、死にはしない」


 手慣れた様子で、李糸を回復させるシェリー、部下一人を瀕死にまで追いやったのに、顔色一つも変えていない。


「り、李糸さん……。 ご愁傷様です……」


 無残に地面で転がる李糸に、手を合わせるグランツ。


「ぶはっ!! 死んだかと思った!!!」


「流石私の部下だ、生きてるな」


「あんたのせいで死にそうでしたがね!!!」


 もとはと言えばお前が悪いんだろう、と腕を組みながら言う。

 李糸は反論できず、歯を食いしばるのみ。


「ん。 忘れるところだった。 李糸、お前ギルドに行きたいのか」


「ええ!! 行きたいですとも! 刺激がほしい!!」


 刺激なら先ほど与えただろう、と拳を握り始めるシェリーを見るや、土下座をする李糸。


「お前にプライドはないのか……。 まあいい、行って良いぞ」


「俺にプライドはないです!!! って、え?」


「最近は任務が一切入らないからな。 休暇がてら行くといい」


「マジすか!!! おい! グランツもいかないか?」


「ええ……。 僕は人間が苦手だからいいですよ……」


 そうか……。 と落ち込む李糸、だがある事に気づいてしまった。


「人間が苦手?」


「え? はあ、苦手ですよ」


「じゃあ、俺は?」


「はい? 李糸さんは天使でしょ?」


「ん?」


 ここにきて、グランツが李糸を天使であると勘違いしていることを知る。


「待て。 俺は人間だぞ」


「…………はああああ?!!!」


 今世紀最大のナイス叫び声だ。


「そ、そんなわけないでしょう!! だって……、あんな強いし!!」


「ま、まぁ。 確かにな……。 最近は人間なのか疑問になってきたよ」


「それにしたって……。 うーん……。 少し考える時間をください……」


 そして、彼は自室にこもってしまった。


「はあ。 急に人間だという事を明かす馬鹿がいるか」


「ここです」


 またしてもため息をつくシェリー。 とりあえず、と話を続ける。


「行くなら許可するが、どうするんだ」


「い、行きたいですね。 ところでどのくらい……?」


「大体一か月は大丈夫だろう。 もし緊急で何かあったときは呼ぶ」


 李糸はそのことを聞くと。


「行きます!!」


 と即答した。


「やっと冒険ができるんですね……! 俺の異世界ライフ!」


「黙れ。 申請してくるから荷物をまとめとけ」


 こうして、李糸は己の夢をかなえることができるのだった。

 ウキウキしながら荷物をまとめる、それが終わりシェリーが返るのを待つ。

 三時間ほど経ったくらいに、扉の開く音が響く。


「待ちましたよ~! さぁ! 行くぞ!!」


「ああ。 そのことなんだがな」


「ま、まさか。 ダメになったとか言いませんよね?!」


「そうじゃない。 そうではなく、一人で行くのはダメらしくてな。 二人以上で行かないといけないのだ」


「な、なんだってー! それじゃあ隊長行きましょうよ」


「いやだ、面倒だ。 グランツを連れていけ。 私は休む」


 シェリーはそれだけ言い、姿を消した。


「仕方ないか……」


 李糸は隠密スキルをすべて使いグランツのもとへと忍び寄る。 翌日、グランツが目を覚ました場所が、亜人の国だという事は言うまでもないだろう。

次回はギルドが出るかも?!

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