地獄の訓練に!
さあ、地獄の訓練再来です。
「よし、グランツ! 行くぞ!」
「ハイ!!」
グランツは今日初めて、シェリー直々に訓練を受ける。 そのため、李糸と共にシェリーに向かっていたのだ。
「緊張するか、グランツ」
グランツは唾液を飲み込み喉を鳴らす。
「はい……」
だろうな、といった反応をする李糸。 シェリー、彼女は仮にも、天界で大天使の次に強いとされているのだ。
そんな彼女から直々に訓練を受けるというのだから緊張をする。
そう、天使ならば。
グランツは緊張をしていた、もちろん理由はいま言ったとおりだ。 しかし、李糸は恐怖によってグランツが緊張していると思っていたのだ。
噛み合っているように見て、全然かみ合わない会話。
「いいかグランツ。 彼女から直接訓練を受けるんだ、気をつけろよ……(怒らせたらやばいぞ)」
「はい。 当然ですよ……(あんな偉大な方に無礼なことはしてはいけない)」
不安な二人だが、とうとうシェリーのもとについた。
「来たな、二人とも」
「隊長、何をするんですか?」
そうだな、今日は……と考え、出た答えが。
「忍耐を鍛えるか!!」
その言葉を聞くと李糸は一気に青ざめた。 李糸は知っているのだ、この訓練がどのような”訓練”なのか。
故に、李糸は口を開けない。 恐ろしすぎるのだ。
「何ですか? その忍耐を鍛える訓練って……」
無垢なグランツの質問に、涙を浮かべる李糸。
「グランツ……。 俺はお前を信じている……。 頑張って、くれッ!!」
「何言っているんだ。 お前もやるんだぞ李糸」
てっきりグランツだけが受けるもんだと思っていた李糸に、とんでもないサプライズを吹っかけてきた。
一瞬固まる李糸、しかし、すぐさまその言葉を理解したのか、飛びのけるように反応する。
「ぅえぇええええ!!!?!?」
「うるさい! 黙れ!」
ドスン
どつかれた。
「とりあえず、この馬鹿は置いといて説明をしよう。 この訓練はその名の通り、忍耐を鍛える、その為お前たちには少し、痛みに耐えてもらう必要がある。 よし、それではその椅子に座れ」
シェリーの話はとんとん拍子で進んでいく、グランツは言われるがまま、椅子に座ってしまう。
ガッシャン!
何の音かと、音のする方を向く。 そこには、頑丈な枷で自由を封じられた腕があった。
「な、何するんですかシェリー隊長!!」
「こうでもしないと暴れるからな……。 私なりの安全策だよ」
そして、訓練は始まる。
シェリーはその手に拷問道具らしきものを握る。 幼い子供にも見えるシェリーには、とても似合わない衣装だと言えるだろう。
そして、彼女はその道具でグランツを痛めつけていく。 はじめはじわりじわりと、だんだんとその痛みは激しさを増していく。 気絶すれば回復魔法、大量に出血しても回復魔法、死にかけたら回復魔法……。
グランツはとことん痛めつけらえていく。
彼の悲鳴は、口に当てられた麻布によってふさがれる。
隣には李糸、彼は痛覚耐性を持っており。それがまた彼を苦しめる一つの要因となっていた。
痛覚耐性があるせいで、痛みはするがマヒしているような、とてつもなく不快な感覚が襲ってきていた。
この苦行を2時間、彼ら二人は解放された。 すでに目に光はなく精神的疲労がデカいようである。
シェリーは袋から取り出した”何か”を二人に食べさせる。 すると、二人はたちまち眠り込んでしまった。
*****
「おはようございます……」
「李糸か、おはよう。 気分はどうだ」
「最悪ですよ……。 でも、しっかりとレベルは上がってます……。 ちょっとグランツの様子見てきますね」
少し調子は悪いが、いつもの李糸に戻っていた。 グランツはどうかと様子を見に行く。
「おーい、グランツ起きてるか~?」
フランツはまだ、ベットで寝ているようだった。 そんな彼に李糸は【魔力操作】で簡単に練った、魔力弾をグランツに向けて放つ。
ボフッ という音を出して魔力弾は消滅する。 それと同時に、グランツは飛び起きる。
「うおおおお!!! な、なんですか?! い、今の!」
て、敵ですか?! と辺りを見渡している。
「ははは! 俺だよ、グランツ!」
「え? あ。 李糸さんですか……」
「どうだ様子は?」
「そうですね……。 体の調子はあまりよくないですかね、あと昨日何があったのか知ってますか?」
どうやら、グランツは記憶を失っているようだった。 ありのままを話すべきか、それとも彼を思って言わざるべきか……。
だが、この男は 「面白そう!!」 という理由で、グランツにすべてを語るのだった。
~数分後~
「ま、マジすか……」
「ああ。 大マジだぜ!」
「ぼ、僕の腕がびろ~ん……。 でも、くっついてる……。」
「ああ。 びろ~んってなっていたぜ。 だがな、皮が一枚でも繋がっていれば、あの女は治せるんだ……。 恐ろしいだろ?」
「ハイ……」
「誰が恐ろしいって?」
二人の背後にいたのはシェリーだった。 彼らは 「ひぃぃぃ!!!!」 と声を上げる、しかし、すでに遅く。
彼ら二人はどこかに連れていかれてしまった。
帰ってきた二人はレベルが上がっていたという。
土日のキツさはヤバいですね......。




