勇者の育った村
書きまくる!
古いスキルの研究を行っているメビロの元へ来たはいいが、結局李糸のスキルが何なのかは分からずにいた。
「せっかく来たのに無駄足だったか……」
李糸が一人落ち込んでいるとメビロが話しかけてきた。
「そんなに知りたいかい?」
「まぁ、できるなら知りたいですね」
「一つ提案なんだが、勇者が生まれ育った村に行くってのはどうだい?」
「そんな村があるんですか!」
メビロその話をすると李糸は、すごい勢いで食いついてきた。
口では、できれば等と言っているが実の所、気になって気になってしかなくなっていた。
「あ、あぁ。 もちろんだとも」
メビロは李糸の反応に少し引きながらも詳しい話をしだした。
その話によると、勇者が生まれ育った村の名前はミスト村といい、亜人の国にあるという。
メビロは亜人の国の地図を持ってきて、大体の村の一を教えてくれた。
その場所は亜人の王国からかなり離れているところにあった。
ここに行けばもしかしたら勇者の持っていたスキルの事を細かく知ることができるかもしれない、あわよくば自分のスキルについてもわかるかもしれないと言われ、シェリーと相談し明後日向かうことが決定した。
「こんな形で亜人の国に行くことになるなんてな」
一刻も早く自分の事を知らなくては、と李糸は焦れていた。
「メビス様この度はお世話になりました」
「いえいえ、シェリーさん。 大天使のやつには元気だと伝えといてくれ」
メビロが二カッと笑い、手を振りながら見送ってくれた。
「メビロさんありがとー!」
李糸もメビロに礼を言い、遠くからでも見えるよう大きく手を振った。
メビロが見えなくなると、李糸の表情は一気に固くなり、歩む速度も少し上がっているように思えた。
そこから、一週間の間歩き続け、二人はついに亜人の国へとたどり着いた。
亜人たちは基本的には普通の人間と変わらず、変わっていても髪の色が様々なものがあったり、体躯が異様に大きいものなどがいるくらいでそう変わりはしなかった。
中には鎧を付け、首からドックタグのようなものをぶら下げている、なんて人たちもいた。
シェリーが言うには彼らがギルドに参加している冒険者で、国の治安維持や、魔物や魔獣の撃退なんかを生業にしているのだという。
道中大きな兵舎のような、酒場のような多くの冒険者たちが行き来する建物を見た。
そこがギルドで、冒険者が依頼を受けたり、受けた依頼の報酬を受け取ったり、情報交換なんかを行う場所なんだという。
「ギルドってこういう見た目なんですね。 もっと目立つ見た目なのかと思っていました」
「こんなムキムキの男たちが行き来してるのだから、十分目立っていると思うぞ」
なんて話をしながら歩いていた。
「所で、今ってどこに行っているんですか?」
李糸はずっと気になっていたことを口にした。
「ミスト村に行くために馬車を借りようと思っているんだ」
「へぇー、馬車を借りるんですか? 隊長は馬車を乗りこなせるんですか?」
「私が操縦するのではない、騎手を雇うんだ」
「でも、金あるんですか?」
「大天使様から、ある程度はもらっている」
じゃあ安心だ、と言い馬車を借りにいった。
しかし、借りた金は少なく、一番安い馬車しか借りることができなかった。
矢無負えず一番安い馬車を借り、早速ミスト村へと向かった。
道中騎手が何度か話しかけてきた。 それは、さながらタクシードライバーのような。
おかげで旅には飽きることなく村に着くことができた。
着いてから李糸は、メビロが言った一言を思い出していた。
「いいか? 今の時期ミスト村では能力値を見る儀式が行われている。 くれぐれも李糸君は見られないようにするんだよ」
「何でですか?」
「勇者と似たような能力を持った人間が現れたら、厄介なことになるかもしれないからね。 気を付けるんだよ?」
そんな話だった。
情報を集めるために、二人は手分けして聞き込みを始めた。
李糸が探していると人だかりができてるところを見つけた。
その中心にはローブをかぶった人が一人、村人を水晶の前に立たせ何かをやっていた。
「何してるんだろう……。 少しいてみるか」
興味の湧いた李糸は、その人だかりのもとへ向かった。
近くにいた女性の村人に声をかけてみた。
「これは何をしているんですか?」
「ん? 旅人か何かかいあんた? これは儀式だよ」
「ああ、これが能力を見るっていう」
「そうさ、これがあったから勇者ネストは生まれたんだといっても過言ではないよ」
「へぇー。 あ、勇者の名前ってネストっていうんですね」
女性はキョトンとした表情を見せた後、大笑いした。
「勇者の名前を知らない奴なんて見たことないよ! あんた面白いやつだねぇ!」
女性はよっしゃ! といい、こう続けた。
「あんたも能力見てもらいなよ! 昔は村の15歳になった子供しか見てなかったんだけどね、時代が変わって金さえ払えばだれでも見れるようになったんだ」
女性はそう説明しながら李糸の手を引いた。
「え? あ、ちょっと! 俺そういうのは……」
「いいからいいから! 遠慮しないでよ、こう見えて私はこの村の村長なんだからさ。 あ、この人のも見てあげて」
いきなりのカミングアウトに村長の固定概念のせいで固まっていた李糸は、あっさり能力を見られてしまった。
「さ、終わりまし……た、ょ……」
「ん? どうしたんだい?」
「ゆ、勇者様だ……」
「え?」
さて、昨日出した勇者①で出たミスト村ですね。
次の話は勇者②です。