始まり
こんにちは!
Ryoと申します。
こちらは以前あった、「始まり」のリメイク版となっています!
以前のものを見たい場合は、活動報告に足を運んでください!
夜の3時、その時間は一般的に”深夜”という部類に入るだろう。
そして、現在の時刻は夜の3時、なぜ急にこんな話になったのか。
それは、この物語が動き出した、始まりの時間だから……。
物語は、いたって普通のどこにでもいる男子高校生が、友達との通話を終了し深夜テンションのまま寝付けないところから始まる。
「あいつ、いつも寝るのが速すぎるんだよな……。 くそーっ! もっと話の続きをしたかったのに!」
彼の言う話とは、今期新しく始まったテレビアニメ 「現代社会から異世界へ?!」 のことだ。
彼の友人も同じアニメを見ており、毎週放送の終わりにこうして通話をし、感想を言い合ってるのである。
アニメの内容は割愛するが、大まかなストーリーを言うと。
主人公の男が、新居の床下に扉があるのを発見し、その中に入ってみると異世界で……。
というような、ありきたりな話である。
しかし、彼ら二人は毎週通話をして感想を言うほど、そのアニメに夢中になっていた。
二人の中でも、この男。
現在、友人と話しきれなかったアニメの続きを一人、悶々としながら考えていた。
「でもまさか、あそこでなぁ……。 それに……、あのセリフ!」
そして、李糸は手を前に掲げ言い放つ。
物語が動き始める。
「ステータス表示! あの始まり方かっこよ……か、た」
急に男は言葉を止めてしまう。
なぜなら、彼の目にはこれが見えているから。
〔名前〕 明宮 李糸 Lv.1
〔年齢〕 17
〔性別〕 男
〔種族〕 人間
〔称号〕
【ステータス】
HP 123/123
MP 1/1
SP 75 《減少》
最大体力値 90
最大攻撃値 115
最大防御値 79
最大魔力値 13
最大魔操値 1
最大抵抗値 11
最大俊敏値 56
〈スキル〉
【閲覧〈完〉】【自然治癒力 Lv.1】【自然体力回復 Lv.1】
「なんだ……、これ」
彼、明宮李糸がそうなるのも無理はないだろう。
目の前に表示されるウィンドウに触れる。
しかし、ウィンドウは手を通過させる、実体はない様だ。
「どうなってんだ……。 アニメの見すぎかな……」
そして、少しの間動かず、少しして答えが出たのか急に声を出す。
「そうだ! これは夢! きっと寝てるんだな、通話の最中に寝てしまったんだろうな。 だからこんな、アニメみたいなのが見える。 すべて解決! 寝よう!!」
何やら、無理やりではあったが自己解決し、李糸は眠りについた。
*****
「ふぁわぁあー……」
目が覚めた李糸は両手を大きく開き、口を広げあくびをする。
「それにしても、昨日は変な夢を見たな~……」
『李糸! 早くご飯食べなさい!』
「はぁーい!」
母親に呼ばれ、階段を降りていく。
テーブルの上には朝食が並び、家族は席に座っている。
「いやあ、昨日変な夢見ちゃってさー」
「変な夢? なんだ、エロい夢でも見たのか」
「違うよ父さん! 起こるはずのないことが起こったっていうか……」
李糸は話しながら昨晩の事を思い出していた、そして頭の中でもう一度”あの言葉”を言ってしまう。
「うわぁあああ!!」
「ど、どうした?!」
それは李糸の眼前に忽然と現れる、目の前に現れ焦る気持ちと、昨日の事は夢ではなかったという思いが、李糸の頭の中を支配する。
深呼吸をし気を落ち着かせる。
「いや、ごめん。 何でもないよ」
「何でもないわけないだろう!」
両親は心配した様子で李糸を伺う。
「いや、ご飯に虫がいたような気がしてさ! 髪の毛だったよ」
「な、なんだ。 大げさな奴だな……」
李糸は少し嘘をつく、しかし、このウィンドウが李糸にとって”大丈夫”というのは、あながち嘘でもなかった。
彼は、この能力を全力で使いまくってやろうと、そう考えていたのだから。
(これで俺もアニメの住人の仲間入りでしょ!! そうと分かれば早速!)
李糸は家族に向け、先ほどの様に念じる。
ステータス表示と。
しかし、表示されるステータスは自分のもの。
そのことに疑問を隠せないようで、朝食を食べる手が止まる。
「おい、どうしたんだ? やっぱり何かあるんじゃないのか?」
父親は再度、李糸に異変を感じ心配をし、声をかけた。
「え? ああ、ちょっと考え事をしていたんだ」
李糸は考える、末にたどり着いたのは。
明確に”何の”ステータスを表示するかを指定していないからなのでは。
それならばと、父親の名前や顔を強く意識し、念じる。
〔名前〕 明宮 吾郎 Lv.1
〔年齢〕 41
〔性別〕 男
〔種族〕 人間
〔称号〕 苦労人
【ステータス】
HP 147/147
MP 1/1
SP 80/80
最大体力値 80
最大攻撃値 129
最大防御値 84
最大魔力値 8
最大魔操値 1
最大抵抗値 10
最大俊敏値 43
〈スキル〉
【自然治癒力 Lv.1】【自然体力回復 Lv.1】
そこに現れたのは、明らかに自分のものではないステータスだった。
李糸はテーブルの下で小さくガッツポーズをする。
そして、次の標的のステータスを表示する。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
どうか続きもご覧ください!