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前に書き溜めていた小説です。
息抜きとして、投稿しました( ̄▽ ̄)
「ふぅ、こんなものでしょうか」
拭き終えた渡り廊下を見て満足気に頷き、チャプチャプと雑巾の水気を絞ります。
この家は特殊と言うか特別で、いつも綺麗なままの状態なので掃除をしなくてもいいのですが、ここに住まわせてもらっている身なので、感謝の気持ちも込めてこうして掃除をしているのです。
絞り終えるとパンッパンッとシワを伸ばし、殆ど汚れていない水が入った青いバケツを持ち上げました。
…んん、重たいです。酷使した手足もだるいので、明日筋肉痛になってなければいいのですけど。
先ほど拭いたばかりの廊下を歩きながら、今日のやることリストを指折り数えます。
「…畑のお世話も掃除機かけも布団干しも終わりましたし…うん、今日の仕事は終わりにします!窓拭きと庭の草むしりは明日にしましょう」
明日出来ることは明日しようと、最近日課になっている縁側でのお茶の準備をする為に、餡入りパンがヒーローの曲を鼻歌で歌いつつ台所に向かいました。
ふふ、今日のお茶請けは何にしましょう。
ポカポカ暖かい縁側で緑茶とお煎餅。
我ながら完璧な組み合わせです。
今日のお煎餅は老舗のたまり醤油で作られたもので、一枚一枚職人さんが丁寧に手焼きで作られている少しお高いお煎餅なのですが、その分納得のお味なのですよ。
ーーズズズッ。
…はぁ、美味しい。
口の中に残る醤油の塩気の後に飲むお茶の、さっぱりとした渋味と苦味の後に仄かな甘味が広がる余韻に浸ります。
本当に日本人に生まれて良かった。
ほうっと、ゆったりまったりする私の頭上から、ピュルピュルと何処からか微かに鳥の声が聞こえています。
視線の先、お庭の池では亀の亀太郎さん(祖母命名)がのんびり甲羅干し。
体を凭せ掛けている柱には、小さな手のひらサイズのトカゲの蜥蜴之助さん(祖母命名)が張り付き、ニワトリの鳥座衛門さん(祖母命名)が地面の餌を啄ばみ、私の膝上には白猫の猫吉さん(祖母命名)が丸くなって暖をとっています。
ーー平和ですね〜。
初めまして。
私の名前は神崎橙子。
中小企業の元事務員で、お恥ずかしながら今は無職。
そして、
只今、異世界にいます。
中一日置きの投稿予定です。
緑茶と醤油せんべいとの組み合わせは最強だと思います。
( ´ ▽ ` )ノ