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たばこの気持ち

作者: 空足袋

その柔らかな唇で、僕の体を包み込む。

その瞬間から僕は生まれ変わり、体に熱を帯びる。

時より舌先は、とても軽く僕の体のはしっこをつつく。

優しく吸われたり、強く吸われるたびに僕は白い溜め息をあげる。

けれど、ときに突き放されれるように全ての行動を1度とめられ、僕がの気持ちがたまり灰色になって、寂しいと思うこともある。

そのたびに君は僕の肩を軽く叩き、僕の積もった過去の色を落としまた僕の熱を呼び覚ます。

もしかしたら君も寂しかったのかな?なんて考えながら、また君の優しい唇が僕を包む。

叶うことなら、このまま君と永遠に一緒に過ごしたい。

でもわかってる。君が僕の熱を強くするたびに、僕は少しずつ君を傷付けてしまうことを。

そして、僕ももうそんなに永くはいられないことも。

君が最後に少し哀しげに、そして今までよりも1番強く求めてくれて僕は最後の息をあげた。

彼のもとから離れ、冷たい水の中でスッと僕の熱はなくなっていき、僕は徐々に終わりの時を迎える。

君にとって僕は、いくらでもあるたかが1本の煙草だったかもしれない。

けど、僕にとって君は、僕を選んでくれた最初で最後の人。

君に届くかわからないけど最後だから、一言だけ言わせて。

ありがとう、君に会えてよかった。

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