期待していたのと違うんですけど
ホントは短編にするはずだったんだけどなぁ
私は普通の女子高生だ。
WEB小説が好きで、よく異世界転生物や恋愛ものを読んでいる普通の女子高生だ。
少年漫画や少女漫画も大好きな普通の女子高生だ。
17歳というこの歳で、両親がいなく親戚のおばさんに頼んで一人暮らしをさせてもらっているが普通の女子高生だ。
兄弟もペットもいない普通の女子高生だ。
そしてなにより普段生活しながら、自分もいつか異世界に行くんじゃないかと期待している痛い女子高生だ。
そう、私は期待していたのだ。異世界に行くことを、特に大好きな少年漫画の世界か普段やっている乙女ゲームのどれかの世界に行くことを。
だから暗いバイト帰り、スマホをいじりながら歩いていたら目の前に光る魔法陣が現れた時は驚いたし、期待した。すでに私の頭の中では、剣と魔法の世界に行った時にどうするかシミュレーションしていたし、内政も出来るように色んな本も読んで勉強した。部活は生活の関係で出来なかったけど、毎朝のジョギングは欠かせず行ったし、筋トレもしている。準備満タンだった私に神様は非情だった。
目の前に現れた時魔法陣は、私を包むように広がる…………のではなく目の前に小さな男の子を喚びだした。目を瞑っている男の子は浮世絵離れしていてとても可愛い。髪の毛は茶髪のふわふわだ。
そして私は思った、この顔なんか見たことあるぞ。
その時下からコツンと音がした。どうやらスマホを落としたらしい。急いで拾い上げて壊れてないか確認するためにスマホをいじる。しかしすぐさま私の手は停止する。私のスマホのロック画面、大好きな絵師さんが描いた大好きな漫画の人物の幼少期の画像。
目の前にいる茶髪の男の子とそっくりな茶髪の男の子が天使な笑顔でこちらにプレゼントを差し出していた。
私のロック画面するほど大好きな茶髪の男の子はある少年漫画の主要登場人物だ。
その漫画は、悪魔に自分の住んでいた町を滅ぼされた主人公がエクソシストの組織に入り悪魔の王、魔王を滅するために組織の仲間と協力して絆を深めたり、過去を克服したりしながら戦うという物語だ。
そして、私が一番関わりたくなかった世界でもある。
ここで、ん?と思う方もいるかもしれないが、私からしたら、一番好きな漫画=行きたい世界という方程式を勝手に作らないでほしい。
なぜなら、この漫画のハッピーエンドは世界の破滅だからだ。どんなに頑張ったって報われない世界に誰が好き好んでいこうとするのだろうか。
最後主人公が魔王を倒して世界が破滅するシーンは泣いたね。何に泣いたって、世界が破滅する直前の描写にあった登場人物たちの笑顔に泣いたよコンチクショウ。
死闘を終え辛かったものが終わったというホッとしたような笑顔をされて泣かないわけがない。
ただ、私の本音を言うなら魔王を倒した後も登場人物達には生きて幸せになって欲しかった!
では目の前の男の子がどういうキャラなのか、すごく簡単に説明するとなれば悪魔落ちお兄さん。
最終章で悪魔落ちしちゃう、ずっと好きだった人を悪魔に殺されてエクソシストになった優しいお兄さん。
ずっと優しい笑顔で主人公を導いてくれたり、面倒を見てくれたり、背中を押してくれたりしたけれど、話の途中で師匠が人間側に殺されて悪魔落ちしちゃう悲しい人。ずっと主人公達とともに戦ってたのに最後の最後で死んじゃう人。
そしてなにより私の一番好きなキャラでもある。
とりあえず私はおんぶで彼を持ち帰った。
連載としていますが続くかはわからない。続くとしたらホンワリあったかい日常を書きたい