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あらがってみたいのです

 そうですよね、こんな状況実際に置かれてみないと分かりませんよね。天橋立電子、自分でどうにかしようという考えを身につけたいと思います(できるだけ)。


「いや、ですね」


「別に答えは求めてなかったんだけどなぁ」


「なるほど冗談だったと」


「ポジティブシンキングだな、素晴らしい。だが、この状況ではやめといた方が良いぞ。教師として教えてやる」


 白雪姫先生は私の肩から手を外し持っている瓶のふたを開ける。一粒取り出して私に向ける。薬とは思えないカラフルな錠剤に思わず恐怖してしまう。まさか薬に怯える日が来るとは思っていませんでした。


「諦めって、大切だぞ」


 白雪姫先生が私の唇に錠剤を押し付ける。私は絶対口を開かないつもりです。

 逃げたいです。でも絶対逃げきれない。なぜなら白雪姫先生には魔法少女である徒然君がいます。ただの人間が魔法少女の脚力に勝てるはずが無い。

 相変わらず徒然君は私を可哀そうなものを見る目で見ています。最初は助けてくれればいいのにと思っていましたが操られてるんでしたね確か。だから今も一歩も動けずにいるのでしょう。だから顔だけは悔しそうにしている。

 つまり徒然君は私を魔法少女にしたくは何でしょう。理由は魔法少女は一人で十分だとか私を危険な目にあわせたくないだとか色々考えられます。後者だったら嬉しいですね。どちらにせよ私は薬を飲むわけにはいかない。


「はぁ、仕方ない。暴力は嫌いなんだけどなぁ」


「ちょっとマスター!」


 言葉と共に拳が鳩尾に入る。余りの痛さに思わず口が開く。

 そのすきを白雪姫先生は見逃さない。素早く私の口に錠剤を押し込む。

 私も負けじと先生の指を噛む。


「いってぇ! あ、そのまんまな」


 一瞬痛がるもあまり効果的でなかったらしく平常心を保っている。噛まれていない手で水を掴み私の口に流し込んでくる。

 私は思わず水をゴクンと飲み込んでしまったのです。

 白雪姫先生は満足そうにうなずいた。


「これでよーし。楽、行くよ。今日はやくざの武器取引場を襲撃だー」


 私に見向きもせずに白雪姫先生は教室を出て行く。その後に徒然君も続く。


「ごめん」


 最後に小さく徒然君が呟いた。


 私以外いなくなった教室は嫌にしんとしていた。私は窓から二人が学校を出て行くのを確認すると口から錠剤を吐きだした。あの時飲んだのは水だけ。元から白雪姫先生の事は警戒していたから冷静に対処する事が出来ました。わりと一人でもどうにかできるものですね。


 ほっとすると同時に少しずつ怒りがわいて来た。

 なんで私がこんな目に、私は何も悪くないのに、教師が生徒に暴力だなんて。

 今から警察に連絡しても良い。でもしません。そもそも白雪姫先生と徒然君は警察だ。上手くもみ消されてしまいそう。


 でも、ここで終わるのも私じゃないのです。


「はははっ」


 しんとしていた教室に私の笑い声は目立ちます。

 

 ちょっと余談なのですが私、天橋立電子は意外と負けず嫌いで頑固な一面を持ち合わせていると自覚しています。私自身治したいとは思うのですがきっと無理だと思います。

 だって今でもどうしたら白雪姫先生を陥れる事が出来るか考えてしまっているのですから。


 魔法少女の事を世間にばらしてやろうか、変態教師のうわさを流して社会的に殺してやろうか、仕事の邪魔をとことんしてやろうか。


 いいえ、ああいうタイプは自分の計算外の事が起こるのを一番嫌うものです。


 主人公の敵上等! できるところまで足掻いてやろうではありませんか。今なら漫画の悪役の気持ちが少し分かります。絶対負けてやらないです。


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