蛍火の夜に
ある夏の夜の物語。
私は蛍を見に近くの小川に来ていた。
ふと見ると、従妹の紗世ちゃんも見に来ていた。
私は紗世ちゃんと一緒に蛍を見ていた。
しかし、真夏のはずなのに寒気を感じた。
私は上着を取りに自宅に戻った。
そこで母にどこに行くのか聞かれて「紗世ちゃんと一緒に蛍を見ているんだ」
というと、母は血相を変えて小川に向かった。
私は何事かと母の後を追う。
小川に着いたが、紗世ちゃんはいなかった。
母は言った。
「紗世ちゃんはね、一昨日病気で亡くなったのよ……」
そういった瞬間に私の足に激痛が走った。
見てみると、手のあとがくっきりとついていた。
そして近くにいた蛍がバタバタと死んでいった。
何かに命を奪われたかのように……。