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釜揚高校ドタバタ日記  作者: ドゥギー
第3章「合宿」
19/32

第19話「合宿最終夜」

 8月7日。この日は1日中ルギーマーチングバンドが指導に当たっていた。音楽室では吹奏楽部が全体練習を行っていた。


「ダメダメ、全然なってないよ!」


 指揮者の玉木が不満を言う。


「玉木くん、今のは君のせいだよ」


 音楽室の隅で座っていた眼鏡の男が玉木に注意する。


「俺のどこが悪いんですか、ルギーさん?」


 口をとがらせる玉木。


「じゃあ、ルギーさんがやればうまくいくんですか?」


 悪態をつく玉木。


「しょうがないな、見てなさい」


 ルギーは立ち上がり、指揮を始めた。玉木が指揮していた時と違い見事な演奏をする吹奏楽部の面々。演奏後、うなだれる玉木。


「玉木くん、指揮者は主役じゃないんだよ。みんなで一つにならなきゃ」

「そんなのわかりませんよ。みんな指揮どおりに演奏すればうまく行くはずなんだ」


 玉木は自分とルギーの指揮の違いに気付かなかった。



 夕方、一人サッカー場でシュート練習をする安永。モモが遠くからその姿をみる。

「ヤスケン……」



 合宿も最後の夜。食堂で夕食をとっているところ、一人の男がはいってきた。


「みんな、こんばんは」

「おお、リーダー、おかえり!」

「お帰りリーダー!」

「インターハイはどうだった?」


 インターハイに出場していた体操部の城嶋しげるが帰ってきたのだ。しげるの周りに集まる面々。


「ありがとう、まあインターハイの話はまた後で。ところで、港で夜釣りに行かないか?」

「いいね、行こう行こう」


 安永が賛同する。そのほかの面々も賛同していった。



 1時間後、十数人の男たちが港の波止場に集まっていた。竿はロビンソンが貸してくれた。ロビンソンはいったんロビンソン亭に戻っていった。そして、港には鈴井校長、あすか先生そしてなぜかミッフィーもいた。


「じゃ、夜釣りよ今夜もありがとう!プレイボーイ!」


 鈴井校長が夜釣り開始の合図を送る。


「ミッフィー、ライトオン!」


 あすか先生が声をかけるとミッフィーが光りだした。絶妙の明るさで光るミッフィーは男たちのいい明りになっていた。


「おお、来た、来た!」


 しげるの竿にアタリが来たようだ。盛り上がる男たち。


「やったー!」


 しげるが釣り上げた魚は大きな目玉をしている。


「はい、リーダー、メバルゲット!」

「校長までリーダーって言わないでくださいよ」



 22:30。ロビンソンが店から波止場に戻ってきた。夜釣りの様子を見たロビンソンが突然怒った。


「だめだよ、そんなに明るくしちゃ!魚が来ないよ」


 どうやらミッフィーの明かりが釣りに邪魔だったらしい。


「しょうがないわね、ミッフィー、ライトオフ」


 あすか先生が声をかけるとミッフィーが光らなくなった。


「いったい、どういう仕組みだ、あれ?」


 しげるが不思議に思う。


「これからが勝負だから、みんながんばって」


 さっさと立ち去るロビンソン。


「よし、みんな朝まで勝負だ!」


 とんでもないことを言い始めた鈴井校長。


「まさか……」


 絶句する一同であった。


 25:00。波止場で夜釣りを続ける一同。連日の疲労からか、みな寝そべりながら釣りをしている。


「全員寝釣りの体勢に入りました」


 無駄な解説をする鈴井校長。


「釜揚港寝釣り甲子園。果たして栄光を掴むのはどの選手でしょうか?」

「寝ー釣り!寝ー釣り!寝ー釣り!」

「ギャラリーから寝釣りコールがかかっております」


 鈴井校長が静かな声でひとり盛り上がっていると、しげるが何かを見つけた。


「校長」

「どうした、リーダー?」

「ヤスケンが『マジ寝釣り』に入りました。竿の代わりに懐中電灯を握っています」

「それはかなりの高等テクニックだ」

「安永選手、本格的な『マジ寝釣り』に入った模様です。モモッチの夢でも見ているのでしょうか?」

「あ、モモッチ?」


 ふと目覚める安永。懐中電灯を握っている姿に気づき、あせって竿を握りなおす安永。


「ああっと、残念。安永選手『マジ寝釣り』終了です。これから、寝釣りも正念場。各選手『マジ寝釣り』に入るのでしょうか?楽しみです」


 ひとり盛り上がる鈴井校長。一方、あすか先生はミッフィーを抱きまくら代わりにして車で熟睡していた。



 その後、男たちは大したあたりも出ず、寝釣りの体勢のまま夜が明けた。


「はい、試合終了!」


 鈴井校長が元気よく試合終了を告げた。

 学校についた一同。学校に残った面々が迎える。しかし、疲労のあまりゾンビのように歩く男たちを見て、みな引いてしまった。

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