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2013年・2014年

不条理5聯

   ムルソー



ムルソーはこの世界に

流産された

不安定の波に乗って

排泄される期間のなかで

彼は人をころした

人の命は

かくもはかないものか

なにも飾らない彼のこころ

重い罪の名のもとで

彼はころされる

息を吐いても

誰にも理解されない

それこそが

ムルソーの地獄だった




















    詩人


   


つくづく思うよ

詩人は狂人だ





















    瞳孔のある風景

   

 


この目から見えている虚構は

真実だ

どこまで行っても

果てがない

この目をえぐれば

世界は消える

自分も消える

だからといって

虚構は消えない

いつまでも

虚構に犯される

心という虚構に





















    人を救う




背に負った大機械の破片

これでいつか人を救えるようにと

淡い光をいつまでも抱いて

幾度も泣いて

強がった

けれど

いつになっても

人は救えない

だれも

救えないのだ



















    略奪



時間を奪われる

命を奪われる

魂を奪われる

禍々しい狂いに

何もかも奪われる

宇宙的恐怖に

私は私を失い

立てなくなった

そして

ただひたすらに

蝕まれていく

理性

もう逃げられない









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