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残日狂想

作者: 宗三
掲載日:2026/08/19

この世界は呪われています。

この世界は美しくありません。


生きることには意味がありません。

生きることには意義がありません。


朝になったから目を覚まし、

夜になったから眠るのです。


そうして昨日が今日になり、

今日が明日になってゆく。


ただそれだけの、ことなんです。

ただそれだけの、ことなんです。


けれどもそれでも、生きているうちに、

何かひとつを見つけたならば、

少し困ったことになるのです。


世界が呪われていることは、

やっぱり変わらないのですから。


人生に意味がないことも、

やっぱり変わらないのですから。


世界を愛したわけではありません。


苦しいものは苦しいままで、

醜いものは醜いままで、

どうにもならないものは、

やっぱりどうにもならないのです。


ただ、


こんな世界にも、

これがあった。


こんな人生にも、

これがあった。


それだけで、


ああ、生きていてよかったと、

思うことがあるのです。


ああ、生きていかなくちゃあと、

思うことがあるのです。


そうなったら、もう、

仕方がないのです。


それを愛してしまったのですから。


それを美しいと、

思ってしまったのですから。


呪われた世界で、

それでも朝を待つのです。


意味のない人生を、

それでも生きてゆくのです。


そのひとつのために。


そのひとつに出会えた、

この人生のために。


そうしていつか、


こんなものでも人生だったと、

笑うことができたなら。


それで、

よかったのだと思うのです。

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