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20話:面倒事


 酒を飲みながら話を聞くと、カイルは1週間ほどで回復したそうで、3日前から4人で再びダンジョンに挑んでいるらしい。


 メイから聞いていた話と一致するから、俺が伝えた特徴でメイはダルクたちを見分けられたみたいだな。


 俺の方の近況も訊かれたから、今もソロでダンジョンに挑んでいるとだけ答える。


「やっぱりエイジさんにはソロでダンジョンに挑める実力があるんですね」


「これでも俺は慎重に行動しているつもりだよ。無茶をして死んだらそれまでだからな。それとみんなとあまり年が変わらないし、俺のことは呼び捨てにして構わないからな」


 そう言えばダルクたちの名前とクラスしか聞いていなかったけど、年齢は魔術士のフォックスが16歳で他の3人は15歳、レベルは全員3らしい。


 3レベルなら慎重に行動すれば1階層で死ぬことはないだろう。2階層に挑むならMPが半分になったくらいで戻るべきだな。偉そうなことを言うつもりはないけど、その辺りことをアドバイスする。


「エイジの言う通りだぜ。そのくらい慎重に行動しないと、ちょっと運がないだけで死ぬこともあるってことだろう?」


「ダルクもエイジさんの言うことは素直に聞くようになったじゃない」


 結局ダルク以外は遠慮して、俺を呼び捨てにしなかった。勿論無理強いするつもりはないけど。


「素直になったとか、そういうんじゃねえ……エイジの言うことが正しいって解ったんだ」


 自分が素直だと認めることが、素直じゃないダルクは恥ずかしいみたいだな。


「ところで話は変わるけど、『殲滅旅団』の悪い噂を聞いている。本当のところはどうなんだ?」


 ダルクたちのことが心配だからストレートに訊いてみる。


「実は……『殲滅旅団』の下部組織になれって何度も言われているんです。下部組織になれば毎月上納金を納める代わりに『殲滅旅団』が後ろ盾になるって話ですが、私たちにとっては結構な金額で……」


 『殲滅旅団』はそんなことまでしているのか。後ろ盾になるって言っても、どうせ揉め事が起きたときに『殲滅旅団』の名前を出して良いって程度の話だろう。


「ずっと断っていたら、今度は下部組織にならないなら、ダンジョンで困っても誰も助けないと言われました。第2支部の冒険者のほとんどが『殲滅旅団』のメンバーか下部組織に所属していますから、私たちは完全に孤立してしまって……」


「あんな奴ら、こっちから願い下げだぜ! 助けて貰う必要はねえ。俺たちだけで何とかすれば良いだけの話だろう!」


 ダルクが声を荒げる。宿屋で夕飯を食べているのも第2支部で孤立しているからか。


 俺たちがいる第3支部に移籍させることも考えた。だけどそんなことをしたら『殲滅旅団』がダンジョン攻略を妨害するかも知れない。自分たちに逆らった冒険者を放置したら、他の冒険者も同じことをする可能性があるからだ。


「シーダたちが『殲滅旅団』と話をつけるなら俺も協力するよ。だけど実害が出ている訳じゃないから、交渉するにしても難しいだろうな」


 『殲滅旅団』は下部組織に誘っているだけで違法行為をした訳じゃない。幾らでも言い逃れできる。


「何か困ったことがあれば相談してくれ。『殲滅旅団』がダンジョンの攻略を妨害するとか、そこまでするなら俺も動くよ」


 俺にとっては乗り掛かった船だし、俺なら『殲滅旅団』と揉めてもそこまで困らないからな。


「え……『殲滅旅団』ってそこまでするんですか?」


「俺の知り合いが実際に被害にあったんだ。『殲滅旅団』には気をつけた方が良い」


 シーダの顔がさらに暗くなる。


「あいつらには俺もムカついているが……結局俺たちが舐められているってことだろう? こんなことでエイジを頼るつもりはないぜ!」


 ダルクならそう言うと思ったけど、気持ちでは負けていないみたいだな。


「ダルク、解ったよ。だけどみんなも我慢できなくなったら言ってくれ。念のためにこれを渡しておくからさ」


 ダルクたちにも『念話の指輪(リングオブコール)』を渡して使い方を説明する。『試練の塔』で結構な頻繁でドロップするから余っているのは本当だ。


 4人全員に渡そうとしたけど、そんなに貰えないと遠慮したから、結局ダルクとシーダの2人に渡すことにした。


 これからもメイにダルクたちを見守って貰うつもりだけど、直接話した方が早い場合もあるし、ダンジョンの外でトラブルに巻き込まれる可能性だってあるからな。

 

『殲滅旅団』はダンジョンでの行動も目につくし、探り(・・)を入れておくか。エイジ・マグナスだった頃の経験から、念には念を入れることにしている。


 ダルクたちと別れてクランベルクの街の外に向う。『索敵(サーチ)』の反応で、尾行されていることには気づいていた。宿屋に向かうときに仕掛けて来なかったのは、周りに人通りが多かったからだろう。


「さっさと姿を見せろよ。ホント、しつこいな」


 闇の中から姿を現したのはガイアたち『(くろがね)の刃』の連中だ。


「てめえ……この前とは随分態度が違うじゃねえか。ローズたちに気に入られたと勘違いして図に乗ったか? 俺の忠告を無視しやがって……ローズに関わるなと言っただろう!」


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