17話:レベリング
「『地獄の爆焔』!」
魔術士第8階梯魔法の漆黒の焔がフロストジャイアント15体を消滅させる。相手は20レベル台後半の魔物だけど、これじゃ完全にオーバーキルだ。
『試練の塔』の攻略を始めてから1週間ほどで、サブクラスの魔術士とテストプレイが同時に25レベルになった。魔術士系クラスは25レベルになると第8階梯魔法を習得する。早速試してみたけど、当分の間は使う必要がなさそうだな。
それにしても、どうしてこんなに早くレベルが上がるのか? 理由は幾つかあるけど、まずは迷宮制作師とサブクラスの組み合わせがチートだからだ。
迷宮制作師はステータスの伸びがハンパない上に、サブクラスのレベルが上がると二重にステータスが伸びる。俺が選んだサブクラスは魔術士だから知力と魔法抵抗、MPが同レベルの魔術士の2倍近く伸びる。
知力が高くなれば魔法の威力が上がって、MPが増えれば魔法を連発できるようになる。より強い魔物をたくさん倒せるようになるから、経験値を稼ぎまくれるって訳だ。サブクラスのせいで獲得できる経験値が2分割されるけど、それでも十分お釣りが来る。
魔法抵抗が高くなることで、魔法やブレスで受けるダメージも減る。範囲攻撃魔法やブレスを躱すのは難しいからHPを削られる主な原因になる。ダメージが減れば継続戦闘能力が伸びて、それだけ多く経験値を稼ぐことができる。
『試練の塔』の救済策も大きいだろう。まずは魔物から結構な確率でポーションがドロップすること。回復魔法を使えなくても、ある程度魔物を倒せるようになればドロップするポーションで回復が間に合う。HPが減って途中で帰るようなことにならない。
『試練の塔』の救済策は他にもある。5階層辺りから『経験値+5%』の効果があるアクセサリーがドロップする。階層が深くなるとさらに経験値増加率の高いアイテムがドロップする。
『ダンジョンズ&マジック』の仕様でアクセサリーは同時に2つまでしか装備できない。だけど今の俺の経験値増加利率は+30%。結構馬鹿にできない増加率だろう。
他にも経験値を稼げる要因はある。メイとの立ち合いは今も続けている。メイが仕える女神様の恩恵で、メイと戦うだけで経験値が入る。今でもメイの方が俺より強いから、立ち合いで得られる経験値も結構な量だ。
メイとの立ち合いは経験値以上に格上の相手と戦うことで、ステータスを上手く戦わないと一撃さえ入れられないことに意味がある。俺の実力に合わせて手加減しているメイに一撃を入れるには、ステータスを上手く使わないと無理だからな。
あとは俺の身体は戦乱の女神がダンジョンマスターにするために用意したモノだから、何もしなくてもダンジョンで冒険者が死ぬ度に経験値が入る……鬱仕様だけど経験値が入ること自体に文句はない。
正直レベルが高くなってからは、鬱仕様の恩恵はあまり感じない。ダンジョンで冒険者が死んで入る経験値よりも、俺自身が魔物を倒して得る経験値の方が遥かに多いからだ。
こうして並べてみると、結構たくさん経験値を稼げる理由があるな。だけど俺のレベルが早く上がる最大の理由は、自分で作ったダンジョンだから全てを知り尽くしていることだろう。
魔物の出現数にレベルとステータス、攻撃手段と与えられるダメージに付帯効果まで全部解っていれば、効率的に攻略が進められる。
テストプレイも25レベルになったから、2つ目のサブクラスが選択可能になった。俺には戦闘スキルがないし、バランスを考えれば普通は回復魔法が使える聖騎士一択だろう。さらに階層が深くなると戦闘中の回復はポーションじゃ間に合わなくなるからな。
だけど聖騎士は司祭魔法を第7階梯までしか習得できない。俺はテストプレイが50レベルになった時点で、3つ目のサブクラスとして司祭を選択するつもりだ。
結局俺は2つ目のサブクラスとして暗黒騎士を選択した。暗黒騎士は戦士系クラスだけど、魔術士魔法を第7階梯まで習得できる上級クラスだ。
将来的に司祭を選択するから聖騎士を選択しなかったのに、魔術士と魔法がモロ被りの暗黒騎士を選択したのには理由がある。暗黒騎士の固有能力が回復手段として優秀だからだ。
暗黒騎士戦闘スキルが5レベルになると固有能力『エナジードレイン』を習得する。『エナジードレイン』を発動中に俺が与えたダメージの5%のHPが回復する。
さらに暗黒騎士戦闘スキルのレベルが上がると10レベルで10%、15レベルで15%と5レベル毎にHPの回復率が上昇する。ダメージを与えるだけでHPが回復すれば、他の回復手段を使う必要がなく延々と戦い続けられる!
俺はその日のうちに暗黒騎士のレベルを20まで上げた。レベルが上がる度に次のレベルまでの経験値が増える。今俺が攻略している階層の魔物は、それだけ多くの経験値を稼げる強さだってことだ。
『エイジ君、夕ご飯の用意ができたわ』
メイと連絡を取るためのアイテムも『試練の塔』の魔物からドロップした。『念話の指輪』をお互いが嵌めれば、一度登録した相手ならどこにいても思念で会話することができる。
ゲームの『ダンジョンズ&マジック』の『念話の指輪』はコメント欄に俺が設定を書いただけの何の効果もないアイテムだった。
だけどエディットツールで書いたクランベルクの街の設定がこの世界に反映されているから、『伝言の指輪』も機能すると思っていたらその通りだった。
ステータス画面を開いて時間を確認すると、メイに制作室に戻ると伝えていた時間だ。俺は『転移』を発動して戻ることにした。
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名前 :如月エイジ 17歳
クラス:迷宮制作師 レベル26
サブクラス:暗黒騎士 レベル20
HP 546
MP 619
STR 115
DEF 114
INT 170
RES 169
DEX 118
AGI 118
[スキルリスト]
迷宮制作 レベル26
解放 レベル26
テストプレイ 25レベル
魔術士魔法 レベル25
収納庫 レベル25
全異常耐性 レベル25
暗黒騎士戦闘 レベル20
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