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第14話:闇の囁き

魔王領の深部。空気さえも悪意に浸されたその場所で、二人の影が暗闇の中に立っていた。

 ザンドロスはひび割れた柱に寄りかかり、腕を組んで影の鎧を纏っている。その不敵な笑みは、数年経っても色褪せていない。

「静かすぎるぞ、ティム。だから誰もお前を真に受けないんだ」

 対照的に立つ少年、ティムは冷ややかに答えた。「お前はうるさすぎる。だからお前の部隊は死に続けるんだ」

「尊敬は忠誠を生み、恐怖は反乱を招く。お前にはその違いが分からないだろう」

 ティムの言葉にザンドロスが吠え返そうとしたその時、不自然で冷たい突風が室内を吹き抜けた。

「何をもたもたしている。さっさと出てきたらどうだ?」

 黄金の輝きと共に、サカタ・ブッダが現れた。「魔王はまだ眠っていると聞いたのでな。残念だ、差し入れを持ってきたというのに」

 サカタは皮肉な笑みを残し、霧のように姿を消した。

城下町 —— ギルド地区

 活気あふれる通りを、十一ジューイチは謎の人物と並んで歩いていた。街門に差し掛かったところで、その人物が足を止める。

「……進む前に、知らせておくことがある」

 フードを脱ぐと、鋭い深紅の瞳と赤髪が現れた。

「私はサクラ・ハラセン。女だ」

 驚く十一をよそに、彼女は淡々と言い放つ。「五分おきに質問攻めに遭いたくないからな。……お前からは何かを感じる。竜のエネルギーよりも強く、封印された何かをな」

ブランヒルド市 —— 東地区

 巨大な石壁と忙しい市場。サクラの知り合いの商人、エドガー・ローランを訪ねると、彼は二人を店の奥へと招き入れた。

「話せ」

 サクラが汚職や公爵の噂について切り出すと、エドガーは顔をしかめた。

「心当たりがある。東地区にある宿屋……看板も灯りもない、地元じゃ『壊れた光輪ブロークン・ヘイロー』と呼ばれている場所だ」

 三人が策を練る中、窓の外で微かな魔法の煌めきが走ったことに誰も気づかなかった。

 路地裏に滑り込んだ影が一つ。静かに、彼らの声を聞いていた。


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