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狼になっちゃった!  作者: 家具屋ふふみに


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3話 数日経ちました…多分

 あれから探索を続けて早数日。……いや、今何時かすら分かんないから定かでは無いけれど、多分数日。色々と分かってきた事がある。


 まず一つ。私が今いるこの洞窟は、とんでもなく広いって事。どこまで行っても終わりが見えない。

 ただあの箱庭は他にも幾つか見付けていて、拠点が増えたのは喜ばしい事だ。


 二つ目。食料の目処が立った…というと少し語弊があるかもしれない。正確に言うと、食事の必要が無かった。多分これも魔物の特権…なのかな?

 じゃあどうやって生きているのと言われると、私にもまだよく分からない。でも恐らく、魔法にも使った“何か”…もう魔力でいいや。魔力が糧になっているような気はしている。


 そして三つ目。魔法は結構自由だという事が分かった。多分私の魔力量がかなり多いのが関係してそうだけれど、基本イメージしたものは実現出来た。


(意外と何とかなりそう?)


 食事は必要無くて、私の姿は基本敵から見えないから襲われる心配も無い。結構生きるのは簡単そうだ。


 ……あー、そうね。その姿が見えないっていうのも少し分かってきた。

 若干気付いてはいたけれど、消せているのは姿だけで、立てた音は聞こえるみたい。そして追加で分かったのは、基本私が意識しない限りは消えたままだって事。


(見せるように意識したらゴブリン逃げたし、多分見えるようには出来るんだろうね)


 何かを糧にして姿を消している感覚はしなかったから、やっぱりこれは私の独自特性だと思う。


 最近の私の日課は、散歩。……うん、それしかする事ないからね。


(今日は下行こうかな)


 一番最初に見付けた拠点から、更に下へと降りる道を進む。相変わらずの洞窟が続くけれど、温度や湿度といった環境は場所によって結構変動がある。

 今回向かった階層は、その中でも湿度が高い場所だ。というか、ガッツリ湖がある。私の最近のお気に入りスポットだ。


(ふんふふ~ん♪)


 無警戒に歩いても誰にも襲われないというのは気楽なもので、イマジナリー鼻歌をしながら意気揚々と歩く。……狼って鼻歌出来ないんだよね。


(着いたー)


 辿り着いた地底湖には光る苔や鉱石が点在していて、とても綺麗。ついでに空気も良いらしくて、拠点の次に居心地が良い。

 湖の畔で伏せをして、顎を組んだ前足に乗せる。そこから水面を覗き込むと、数匹の魚が泳いでいるのが見えた。


(食べれるのかな…?)


 ふとそんな考えが過ぎる。食べなくてもいいとはいえ、口寂しいと思う事はあるからね。ただし、魚を捕まえるには水に潜る必要がある。


(呼吸する魔法ってどんなのだろう…)


 イメージ次第で色々と出来るとはいえ、そもそものイメージが無いと作る事は出来ない。

 呼吸…酸素…確か魚の鰓って水から酸素を取り込む作りをしてるんだっけ? ならそれを模倣する?


(……いや待って? そもそも私呼吸してるの?)


 食事の必要が無い不思議生物。それが今の私だ。

 食事は本来エネルギーを得る為に行うものであり、(推定)魔力でそれを補っている私はそもそも外部からエネルギー等の供給が必要無いのでは?


(……物は試しで潜ってみよう)


 そう思って勢い良く湖にダイブすると、順調に身体が沈んでいく。目に水が入る事に不快感は―――無い。息苦しさも、無い。

 ……これ生物って言えるのかな? 便利だからいいけどさ。


 意を決して飛び込んだ湖の中は、私の予想を遥かに超える綺麗さがあった。水面からは見えなかった輝く海藻や貝、煌びやかな鱗を持つ魚。こちらを驚いた眼差しで見つめる瞳…ってちょいちょい!? バレてる!?

 ……いやバレるか。思いっきり音立てたし。


(ほほー…)


 私の事を湖の底から見ていたのは、鮮やかな蒼い鱗を持つ大きな蛇…いや、見た目的に水竜かな?

 私よりも大きな身体をしているけれど、不思議と恐怖心は無かった。…と、取り敢えず手を振っておこうかな。あ、鰭で振り返してくれた。これは敵じゃなさそう。


(綺麗な子だなぁ)


 見れば見るほど、その美しい姿に目を奪われる。そんな水竜はといえば、私の事を興味深そうにジーッと見たまま。

 言葉を交わせれば良いのだけれど、その方法に心当たりは無いので諦めるしかない。にしてもなんで水底で動かないんだろ……。


(……あっ)


 そう思って観察していると、振り返してくれた鰭とは反対の鰭に大きな傷があるのが見えた。傷跡の状態からして、そこまで古いものでもなさそうだ。


(治せるかな…)


 犬掻きをして近付くと、水竜はキョトンとした表情を浮かべて目線で私を追い掛けていた。しかし私の目的に気付いたのか、少し慌てたように後ろへ下がろうとする。でも傷付いた鰭が上手く動かせないのか、その進みはかなり遅い。


(早く治してあげないと)


 どうやら動いた事で傷が開いてしまったようで、水中に赤い色が混じるのが見えた。早くしないとと思いつつ、魔法のイメージを固めていく。


 傷を癒すと一言に言っても、そこに至る過程は様々ある。今回の場合は裂傷だから、そこを縫い合わせるイメージが適切かな。


(お願い治って…!)


 半ば祈りに近い形で魔法を行使する。すると私から放たれた魔力が淡い光を放って傷口を覆い、ジワジワと塞がっていくのが分かった。


(良かったぁ)


 ほっと一息つくと、目の前の水竜が自分の鰭を驚いた顔で見詰めていた。ふふふ…って、この子他にも怪我してるね。鰭ほど深くは無いけれど、全身の鱗に細かい傷がある。それは再生して埋めるイメージで治し治し…っと。よしよし。


「ギュオ♪」


(わわっ!?)


 傷を治した事で警戒心が無くなったのか、上機嫌に私へと擦り寄ってきた。それ自体は嬉しい事なんだけど、なまじ体格差があるからちょっと慌ててしまう。


「クルル?」


(…まぁ元気になったのなら良かったよ)











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