26話 見えないものを見ようとして〜
んん〜???
個体名:未設定
種族名:ブリュード・リヴァイアサン
水竜ちゃんを見た途端目の前に現れた文字の羅列に困惑する。これ何…?
(種族名…もしかしてこれステータスってやつ?)
ゲームとかでよく見るあれで多分間違いはなさそうかな。でもなんでいきなり…まぁ突然こんなものが見えるようになったのは、十中八九さっきの宝玉のせいだろうけど。所謂そういう能力を付与する宝玉だったって事なのかなぁ…あっ、そうじゃん。私を見れば分かるかも。
個体名:アヤメ
種族名:ミラージュ・フェンリル
Lv:377
状態:未契約
スキル
言語理解 Ⅹ
暗殺 Ⅶ
聴力強化 Ⅶ
嗅覚強化 Ⅶ
レジェンドスキル
魔導ノ極
隠遁
神美眼
……なんかいっぱい出てきた。こんなに項目あるの? もしかして水竜ちゃんも同じ?
個体名:未設定
種族名:ブリュード:リヴァイアサン
Lv:3561
状態:―
スキル
―
(うん!?)
み、見間違いかなぁ? レベルが私の十倍くらいあるんだけど……ていうかそれ以外見えないんですけど!?
「クルル?」
……可愛いなとか思ってたけど、私なんかより遥かに強かったのね。多分そのせいで他の項目が見えないんだと思う。うん、味方で良かったよホント。
私のステータスを確認したところ、恐らくだけど神美眼っていうのが新しく獲得出来た能力だろうね。所謂鑑定みたいな事が出来るのかな。結構便利なものを貰ったね。……なんで水竜ちゃんが私にこれを与えたのかは分かんないけど。あれか? 強さを見せつけて、若造がイキがってんじゃねぇぞと言いたかったのか? ……流石に無いか。純粋な好意だと思いたい。
「ギュオ♪」
(わわっ)
私に贈り物を出来たからなのか、凄く嬉しそうにその長い身体を私へと巻き付けてきた。全然苦しくは感じないけど、この子がちょっと力を込めたらポキって逝くんだろうなぁ……。
(にしてもレベルかぁ…)
私は姿を消せるから、その関係で今まで殆どモンスターを倒してこなかった。それでも四百近くあるのは、多分最近は冒険者の人達を助けていたからだと思う。そこそこ高いとは思うけど、まぁこの目の前の水竜ちゃんには到底及ばない。
私は別に強さを求めている訳ではないけれど、こうして明確に強さの指標を示されるとどうしたものかと悩んでしまうね。
(高ければ身体能力が上がるのかな?)
ここまであからさまなものがあるのだから、数値に意味が無い訳がない。とはいえ、じゃあ高ければどうなるのかなんて私が知る由もないわけで。上げ方は分かるよ? モンスターを倒せばいいんでしょ?
ミリアさん達に聞けば分かるかもだけれど、私だけじゃどうしようもないから兎も角この話題は保留しておこう。今は水竜ちゃんのご機嫌取りに終始しないと………。
◆ ◆ ◆
「アヤメ! 戻りましたよ!」
私の居る安全地帯に入ってくるなり、ミリアさんが寝転ぶ私のお腹へとダイブしてきた。……私だから良いけど、普通の狼にそんな事したら潰れるからね?
「良い子にしてたか…っつうのはおかしいか」
「一応野生のモンスターだからな。一応」
ガレフさん、やけに一応って強調しますね。私もそう思うから否定しないけど。
……さて、と。
個体名:ミリア・リーツヴァルム
種族名:人間
Lv.259
状態:亡命
個体名:アリーシャ・ミル・シューフェル
種族名:エルフ
Lv.311
状態:偽装
個体名:ガレフ
種族名:人間
Lv.309
状態:―
個体名:リンダ
種族名:熊獣人
Lv.288
状態:偽装
これが今の私の目に映るもの。…なんか見ちゃいけないものが混じってる気がするけど、そこは見なかった事にしよう。
(ふむふむ…私よりは低いのか)
確認したかったのは、ミリアさん達のレベル。ミリアさん達が一般的な存在かというのは分からないけれど、一応の指標になるとは思ったからね。
そこから分かったのは、私はそこそこ高いけれどめちゃ強いって訳じゃ無いって事かな。多分姿を消す……隠遁だっけ。あれを使わないで戦ったら、流石に負けるんじゃないかな。勿論戦うつもりなんてさらさらないけどねっ!
「あっ、そうだわアヤメ。実は貴方に聞きたい事があったの」
(聞きたい事?)
唐突にそう切り出したアリーシャさんの言葉に首を傾げる。一応筆談は出来るけど、そんな高度な会話は出来ないよ?
「実は数日前から窮地に陥った冒険者が何者かに助けられるっていう出来事が頻発しているそうなんだけど……」
……窮地。冒険者。助ける。成程成程?
「その時間帯が丁度私たちが寝て休んでいる間の事でね?」
「………」
……はい、間違いなく私ですね。暇だったからつい…。
居た堪れなさを感じてつい目を伏せてしまうと、途端に慌てたような声色でアリーシャさんが続けた。
「別に怒ってる訳じゃないの。アヤメが何をしようと勝手だし、それが人助けなら責める理由はないわ」
「そうですよ。私たち冒険者は寧ろアヤメに感謝しているんです。死と隣り合わせの職業ですからね」
怒ってる訳では無いと聞いてほっと胸を撫で下ろす。まぁ肯定しなくても助けていたのが私だって気付かれているのは予想外なんだけど。
「という訳でアヤメに少し提案があるのよ」
「ガウ?」




