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狼になっちゃった!  作者: 家具屋ふふみに


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25話 怒ってる?

 水竜ちゃんの元へ向かう道中に何度か窮地に陥っていた冒険者を助けたけれど、今日は随分と多いね? ちゃんと自分の実力に見合った場所じゃないと危ないよ?

 と思っても当然ながら私には伝える口がないので、忠告する事すら出来ないんだけどねっ!


(着いたー!)


 随分と久しぶりのように感じるけれど、その実そんなに期間は開いていない。水竜ちゃんは元気かなぁと早速湖へ飛び込むと、その途端に私の身体が強い水流に巻き込まれた。


(っ!?)


 一瞬慌てたけれど、見覚えのある青い鱗が見えた事で安心する。けど私を引き寄せるように動く水流は荒々しくて、とてもじゃないけど歓迎しているようには感じない。

 そうこうしている間にも私は水竜ちゃんの目の前へと連れてこられた。でもなんというか……すっごい怒ってる?


「ギュルル……」


(えっと…)


 ……まぁ、うん。心当たりはある。水竜ちゃんに会ってからは結構毎日のようにここに来てたからね。いきなり来なくなったらそら心配もするし、怒るのも当然だ。


(ご、ごめんね?)


 兎も角直ぐさま謝罪するけれど、言葉が通じないので態度で示すしかない。

 バタバタと荒れ狂う水の中を犬掻きで進んで水竜ちゃんへ近付き、コツンと額同士を擦り付ける。嫌って離れたとか、そういう訳じゃないとだけ伝わればそれで良い。


「…クルル」


(! えへへ…)


 なんとか誠意が伝わったのか水竜ちゃんからも強くスリスリが返ってきて、取り敢えず安心。でもそう私もこれから頻繁に来られる訳じゃないからなぁ……。

 それを伝えようとも思ったけれど、まず伝わらないだろうし、逆に伝わったら伝わったで大暴れしそうな予感がする。うん、やめとこ。


「キュル?」


(あぁ何でもないよ)


 私がボーッとしていたからか、心配そうに水竜ちゃんが首を傾げた。とはいえ何も言えないし言うつもりもないので首を振って誤魔化し、暫く一緒に湖を泳ぐ。この湖って地中にあるのに凄い深くて広いんだよね。


(これ人間は無理じゃないかな?)


 そう思えるくらいには深い。まぁこの世界には魔法もあるし、もしかしたらそういう水に長時間潜る魔法とかもあるのかもしれないね。


 湖の中は色んな魚や光る結晶なんかがあるんだけど、そのどれもが前世では見たことの無いものだ。紫色の魚とか私毒ありますよって言ってるようにしか見えないよ。多分私は食べられるけど。

 んでもって光る結晶なんだけど、これは所謂水晶の原石みたいな形をしている。でも色は様々あって、私の瞳みたいな菖蒲色の結晶もあったよ。これは一つだけ貰った。

 多分これにも名前はあるのだろうし、結構なお金になりそうだけれど……無理に取ろうとは思わない。こうして湖底で集まってキラキラと輝いている時が、この結晶達の本当の姿だと思うからね。


 水竜ちゃんに誘われるままにグングンと下へ連れられてしまったから、普段潜る深さよりもだいぶ深い所まで来てしまった。そろそろ戻らない? え、まだ行くの?


 ここで私だけ引き返してもいいんだけど、その後の事を考えるとまず無理だろう。今度こそ水流に飲まれて二度と外に出して貰えないかもしれない。ヤンデレかな?


(……あれ?)


 やっと湖の底が見えてきたと思えば、そこにあった物に思わず目が点になる。あのー……私の目が間違っていなければ、あれって宝箱では?


「キュルル♪」


(えっ、これ見せたかったの?)


 どうやら水竜ちゃんはこれを私に見せたかったらしい。と、取り敢えず開けてみる? でも開けたら水入って大変な事に…いやそもそも水圧で開かないんじゃ?

 そう思いながらも恐る恐る鼻先を付けると、殆ど抵抗も無く蓋が持ち上がった。という事はもう中は水で満たされているのかな。


(えーっと……これは?)


 予想通り中は水で満たされていたようで、一つの気泡すら出てこなかった。まぁそこは良いんだ。ただ、中から出てきたものに関しては首を傾げるしかない。

 今までは瓶に入ったポーションとか、宝石、あるいは金貨などの貨幣といった、一目で分かるものばかりだった。でも今回この宝箱から出てきたのは……澄んだ蒼い玉。それも中の色がゆっくりながらもグルグルと動いている。


(んー…取り敢えず回収して、ミリアさん達に見せてみようかな)


 そう思って私の収納空間へ入れようと前脚を伸ばしその宝玉に触れた瞬間、ふわりとその宝玉が蒼い光を帯びた。突然の事に慌てて前脚を引き戻そうとしたのだけれど、その光はあっという間に私の前脚へと届き、そのままスルスルと脚を伝って私の中へ入って来た。


(ふぇっ!?)


 ピリピリとした感覚が走るも、それは一瞬の事で。光は私に溶け込むようにして消え去って、宝玉はその綺麗な色を失いサラサラと崩れていった。こ、これ大丈夫なやつ!?

 壊してしまったかと思って恐る恐る水竜ちゃんの様子を窺うも、水竜ちゃんは何処と無く満足気に頷いていた。正解でいいの? ほんとに?


(何だったんだろ…)


 そう思いながらも取り敢えず上へ戻ろうと、今度は水竜ちゃんをしっかりと見て―――――――






 ――――――ブリュード・リヴァイアサン



 ………うん?



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