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狼になっちゃった!  作者: 家具屋ふふみに


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21話 写真とお勉強なんです?

 情報交換も終わったという事で、ここでリサさん達とはお別れになる。まぁ当然のようにリサさんが納得しなかったけど。


「せ、せめて()()させてもらえませんか!?」


「あー…一応その分の記録結晶買ってたっけ」


「記録…あっ、もしや魔導水晶板ですか?」


「ええ。この迷宮って深い上に帰還石が動かない場所も多いでしょ? だから有り金はたいて一個だけね」


 そう言ってアイナさんが取り出したのは、以前私が見たスマホ。これが魔導水晶板と呼ばれているらしい。名前の感じからしてスマホとは全く違う独自の道具って事かな。言い方的には結構お高い物?


「ガイアメルクには便利な魔導具が多いのよね。魔導コンロもガイアメルクの発明品でしょう?」


「そうね。その点はガイアメルクに生まれて良かったと思うわ。それでほんとにここで記録結晶使うの? 高いのよ? あれ」


「使わないなら泣きます。真面目に」


 いい歳した大人がそれはちょっと恥ずかしいよ、リサさん……。


「分かったわよ……アヤメ、良い?」


「クゥン…?」


 良いも悪いも何するか分かんないんですが?

 そんな私の疑問にミリアさんが気付き、説明してくれる。


「アイナが持っている魔導水晶板には、風景の絵を一瞬で記録する機能があるんです。記録結晶はその絵の情報を記録するもので、別の機械を使って紙に写すんですよ」


 ほうほう。つまり一回使い切りのフィルムカメラみたいなやつか。ほんとにスマホっぽい機能があるんだね。誰が作ったのか凄い気になる。

 まぁ別に写真を撮る分には構わないので、良いよという意味を込めて頷いてみせる。するとパアッと顔色が明るくなるリサさん。そんなに嬉しいの?


「じゃあ私がアヤメに抱き着くので、そこを記録してください!」


「はいはい…」


 そう言って寝そべった私の首元にギュッと抱き着いたリサさんが、ニコニコと頬擦りをしながらアイナさんの方を向く。アイナさんは何処と無く呆れたように苦笑していたけれど、リサさんのお望み通りに魔導水晶板を掲げた。


「はい、ポーズ」


 アイナさんの掛け声のすぐ後に、カシャッとした音が響く。そこまで作られてるのね……。


「これで金貨三枚吹っ飛ぶのよね…」


「まぁその分便利ですし、記録結晶が残っている限り紙に写せますから妥当だとは思いますよ」


 成程確かにほぼ無限に現像出来るなら高くても納得なのかも。とはいえ金貨三枚がどれだけの価値を持っているのかは分からないんだけどね。


 リサさん達は元々依頼を受けてこの洞窟……なんか迷宮って言ってたっけ? に潜っていたらしいので、この後は上に戻るらしい。最後まで私にブンブン手を振って名残惜しそうにしながら消えていったのが印象的だったよ。バイバーイ。



 ◆ ◆ ◆



「では早速アヤメは私とお勉強ですねっ!」


 リサさん達を別れた後、ガレフさん達はモンスターを狩りに行った。そして私はミリアさんと共に安全地帯でお留守番。怪我人だもんね。仕方無いね。

 それで暇になるから、早速とばかりにミリアさんが買ってきた勉強道具を並べていく。


「まずは文字……と言いたいのですが、それよりも先に地理や知識について勉強しましょうか。最初から詰めると楽しくありませんからね」


 という訳で、まずは私が今いる場所について説明してくれる事になった。


 私が居るこの洞窟はガルナメリア大迷宮と呼ばれる場所だそうだ。迷宮っていうのはモンスターが生息している広大な洞窟の事で、私が以前見付けた宝箱なんかが生成されるのが特徴らしい。あとモンスターを倒したら死体が消えるのもダンジョン特有なんだとか。


「迷宮のモンスターが落とす結晶は魔力が籠っていて、様々な物に活用されています。私達冒険者はこうしたものを採取して、ギルドに買い取って頂く事で収益を得ているのですよ」


 そしてそのギルドというのは組合のようなもので、ミリアさん達が所属する冒険者ギルドや商業ギルドといったものがあるそうだ。

 あとダンジョン以外にもモンスターは存在していて、そういったものは倒すと死体が残るからそれも買取対象になるという。私が食べたオーク肉とかはそういうところから流通しているんだね。


「そしてハリアロスというのが、私達が拠点としている街です。このガルナメリア大迷宮の入口近くにある街で、ここからの恩恵によって発展してきた歴史を持つ街なんですよ」


 いつか案内してあげますねと楽しみそうに言うミリアさんに、私自身もワクワクしてしまう。此処が完全な異世界だと分かった今、そうした街並みをとても見てみたいもの。


「後は何があるでしょう……あっ、この大迷宮に潜る理由について説明しましょうか」


ワゥ(理由)?」


 なんでもこの迷宮の奥深くには、あらゆる願いを叶える秘宝が眠っていると言われているらしい。だからこの迷宮に潜る冒険者は皆それを求めて日々鍛錬に励み、努力しているんだとか。


「アヤメはこの大迷宮で生まれたのですよね? 知っていませんか?」


 その言葉には首を振る。確かに生まれはしたけれど、一番下までは潜ってないから分からないもん。目覚めてからは寧ろ上に昇ろうとしていたし。

 でもなんでも願いを叶える秘宝かぁ……それが本当にあるのなら、人間に戻ったり、喋れるようになったり出来るのかな。まぁ願うとしたら後者だと思うけど。だって今の身体何だかんだ気に入ってるし。









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