【プロットタイプ】盤を裏返す
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
諭羅のこんなところが好き〜。
でもやっぱり籠に一番閉じ篭っているから、二人の壁が越えられないんだよ。
創作部のガチ勢は、物を書くこと以外に興味が無いという共通点の他に、周りを客観視するという癖がある。
特定の誰かに感情移入せず、あくまで読者、観客の視点で物を見て、物事を判断する事が多い。つまり自分は何処までも蚊帳の外であり、あまり交わろうとしない。ただの傍観者なのだ。
その事、つまり感情移入しない事で、人の心理を学べないのを、誰よりも早く危惧したのが鏡花である。故に解説策として、誰かの人格を演じる事で、その心理を知る事に至った。
瑠衣もその癖に思うところがあったのか、鏡花の舞台に共に立つことを決めた。常に冷静に、的確に、機械めいた判断を下す瑠衣にとって、其れは前代未聞の事である。
ただ、諭羅だけは依然として傍聴席で人を見る。神の視点で物を判断する。
私が知っている諭羅は、人の事が大好きだけど、大嫌いという矛盾した感情を持っている。人の事を観察対象として見るのは大好きだけれど、人と自ら交流するのは大嫌い。だから滅多に心を開かず、常にこの世界を盤として観察し、駒になる事はない。
其れはまるで『殺戮映画を見るのは好きだれど、その中の登場人物として殺戮に参加するのは御免蒙りたい』という、観客の意見に他ならない。
殺戮映画を見るだけならば、自ら傷付くことも無い。死ぬことも無い。読者の様に繊細なのだ。
ちなみに私も最初から其れに気付いた訳ではない。私の癖、出会って来た人の言動を分析し、導き出された結果である。
「ねぇ、ゆらりぃ。何時になったら私達と同じ目線で語らってくれるの?」
私達はただの観察対象でしかないのでしょう? 貴方は盤の上を眺めるプレイヤーに他ならない。でもそれだと、相手の事を本当の意味で知った上で、人間を書くことは出来ないよ。
諭羅も其れは知っている。知っているけれど、其れをきっと恐れている。行ったら自分の『らしさ』が失われてしまうのでは無いかと。筆を取ることが出来なくなるのでは無いかと。
「語らっているよ」
嘘言わないでよ。貴方のその微笑みは、相手の心理を掌握して、その先の言葉を奪う為に使っている。だから本音は『その会話、続けたくない』『これ以上入ってくるな』である。
「盤をひっくり返しなよ。見える世界、変わるよ」
私が諭羅の視点に立ったように。諭羅の心理を知ったように。
「……気が向いたらね」
甘ったるい微笑みを浮かべた彼が、一瞬、穢れた僕を見るような目線を向けた。其れは冷ややかな本音。決して同じ目線で話すことの無かった諭羅の小さな進歩である。
ガチ勢共って、作者側だから、あんまり感情移入しないんですよ。
もう『暴帝』で良いかな……。
創作物に関して、総じて皆、僕であり、王だから。
これは個人の意見。
※腐女子の話が出ます。
ほら、作者あるあるなんですが、特定の誰かの一人称視点で物を書かないじゃないですか。
盤を上から見下ろす様に、見てるじゃないですか。
腐女子の方々が仰る、
『私は壁なんだよ!! 誰かに成り代わったら其れはおこがましいんだよ!!』
に似てます。
鏡花が演技を始めたのは、孤独にならないため。
明るく振舞っていれば、誰かの傍に居るのを許してくれるから。
でも創作を始める様になってからは、相手の心理を理解する為です。
瑠衣も其れに気が付いて、鏡花の舞台に立つことを決めてます。
※普段は冷静かつ的確に、機械的な瑠衣からしたらかなり珍しい事。
其れもこれも全て、自分の創作物の為です。
その殻を唯一破れてないのが諭羅なんですよ。
如何せん繊細。其れこそ乙女の様に繊細。
言葉で相手を丸め込む。閉じ込める。これが諭羅の名前の由来。
そして其れで自分までも閉じ込めてます。
そのままじゃ、何者にもなれないよ?
という忠告と、
だったら私が引っ張り出してあげる!!
という諭羅の境遇に共鳴した殺し文句です。
自分がそれで孤独だったから、辛かったから、諭羅には同情。瑠衣には羨望を向けてます。
ガチ勢共の感情移入度
高 鏡花
中 瑠衣
低 諭羅
こんな感じ。