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三題噺もどき3

何もない雨の日

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくにじゅうさん。

 


 ガラスを叩く音が響いている。


 今日の天気はあいにくの雨模様のようだ。

 おかげで起床時間は遅くなったし、動き出すのまでに時間がかかってしまった。

 体が重いし、心なし頭も痛む。

「……」

 こういう中途半端な痛みの方が面倒に思えるのは私だけだろうか。

 ジワリとした妙な痛みというか、違和感程度のモノ。

 痛みが酷ければ、薬をのむが、それほどのものではない痛み。

「……」

 頭を抱えたくなるほどの激痛ではない限り、薬は飲まないようにしている。

 常に頭痛と付き合っていた身である以上、その度に薬を飲むわけにもいかなかったものだから。いや、飲めばいいんだろうけど……あまり得意ではない。

「……」

 一応、医者にもらったものがあるにはあるが……。

 うん。薬を飲む程じゃないし。もっとひどい頭痛になったときにない方が困るし。

 他に何かしておけば、痛みも気にならなくなるかもしれない。

「……」

 そう思いつつも、何も手についてはない。

 なんとか動き出し、リビングに来たのはいいものの。

 窓際の椅子に座って、窓ガラスを叩く雨粒をぼぅっと眺めている。

「……」

 本当は、今日は外出する予定だったのだ。

 もう少し早めに起きて。軽めの朝食を摂って。

 歯を磨いて。着替えをして。

 出かける準備をして。

「……」

 少し前に我が家に来た妹に、教えてもらったところに。

 ツイッター……いまはエックスだったか。アイコンにいた青い小鳥はいなくなり、なんだかスタイリッシュなバツの文字が刻まれている。

 そのエックス、で見つけたらしいのだけど。

「……」

 この近辺、私の徒歩範囲内に。何やら新しいカフェのようなものができたらしく。

 そこがただのカフェなら行かないのだけど、どうやら、書店兼カフェという感じらしく。

 絶対こんな雰囲気好きでしょと言われ、おすすめされたのだ。

「……」

 だから、そこに行こうと。

 思って、いたのだけど。

「……」

 こんな時間になってしまったし。

 外を見れば雨が降っているし。

 リビングの椅子に座るだけで、精一杯になってしまったし。

 頭は妙な痛みがあるし。

「……」

 全く持って不本意であるし。

 こういうやけに沈みたくなるような状況は極力回避したいと、常日頃思っているのに。

 どうして、こうもうまくいかない事ばかりなのだろう。

「……」

 と。

 まぁ、数日前なら。

 鬱々としだしていたけど。

 ぼうとはしているので鬱々しだしても無理はないのだけど。

「……」

 今日はまぁ。

 なんとなく。

 機嫌がいいわけではないが。

「……」

 不思議と、沈み込むことはない。

 これももしや妹のおかげだろうか。

 なんて。

 きっと雨が降ったのは、今日は行くなということだろう。

 なんて。

「……」

 そんな風に思えるようで。

 なんとも……自分の都合のよさに少し嫌気はさすけれど。

 このぐらいの感覚で生きていくのもいいかもしれない。

 とまぁ、そんな風に頭の端でおもったりして。

「……」

 それがいつもできるようになればいいのかもしれない。

 なんてことを、ひっそりと思ったりして。

「……」

 今日は、雨の長々し日を。

 ぼうっと過ごしてみようかと。






 お題:小鳥・ツイッター・外出

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