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それは訪問看護ステーションから始まった

作者: とばり

精神科訪問看護ステーション「おさかな」があった。精神科の訪問看護師とは、患者の住宅で話を聞き、薬を飲んでいるか?普段の生活を把握し、主治医に報告するだけという看護師という職種にしては、比較的簡単な仕事だ(もちろん重度の精神障がい者ばかり相手にすると大変だろうが)。職員の態度が悪いなどの様々な理由により、訪問看護ステーション「おさかな」は利用者離れが続いていた。今はSNSやネットの時代だ、訪問看護ステーションに対する不満は簡単に広まり、訪問看護ステーション「おさかな」はいつの間にか苦境に陥ってしまっていた。

職員会議で利用者離れが続いているので、給与削減が決まった。

しかし、いつの日かそれでも利用者離れが続いているために、利用者へのサービス向上のために、上司が訪問看護ステーションの訪問看護に要するガソリン代は職員自腹にしようと提案した。

もちろん高野以外の職員はすべて反対した。

川村「そんな訪問看護ステーション、聞いたことないですよ!」

西園寺「そんな案が通ったら、私は辞めます!」

高野「別に良いんじゃないですか?」高野という職員は精神病者と接するあまりに、実は自分も重度の精神障害を患ってしまっていた。

上司の案は通ったが、高野以外のすべての職員は抗議のため?呆れたのか退職した。

職員が前より減った事により、訪問看護ステーションはさらなる苦境に陥ったが、そもそも前より職員数が少ないので高野の給与は維持可能だった。

ある日、訪問看護ステーション「おさかな」の求人に佐藤という看護師さんが面接にやってきた。

上司との面接「おさかなの訪問看護のガソリン代は職員自腹です、よろしいですか?」

佐藤「そんな訪問看護ステーション聞いた事ないです!」

上司「利用者へのサービス向上のために仕方がなかったのです」

佐藤はここで面接を放り出そうと思ったが、そもそも訪問看護という職種を経験したい、この地域に訪問看護ステーションが少ない、割と佐藤の家から訪問看護ステーション「おさかな」までの距離が近いという理由でその案を飲み込む事にした。もちろん、内定。

佐藤の訪問看護が始まった。

佐藤は訪問看護の仕事を頑張るたびに、ガソリン代が給与から差し引かれるために最初の時より、仕事量を増やしたくない等の苦情を上司に行っても、すんなりと通った。

上司「ガソリン代が自腹では仕方がない」

佐藤はこの訪問看護ステーションは意外と仕事量を調節可能で、仕事しやすいと感じた。

ある日、利用者の一人が言った「佐藤さん、私はかなり前よりか利用していて、最近は利用料金が安いのだけど、なんかあったのですか?」

佐藤「実はガソリン代は職員自腹なんですよ」

利用者「えっ、冗談でしょう!?、最近ガソリン代高いのに」

そこから話が進んだが、利用者の一人が冗談ではない事を知った。

今やSNSの時代、訪問看護ステーションのガソリン代が職員自腹である事は簡単に投稿された。

そして、マスコミの取材を受ける事になった。「職員のガソリン代が自腹な訪問看護ステーション、全国にただ一つ」。

マスコミから取材をうけた事で知名度がうなぎ上りに上昇し、利用者が急増した。

訪問看護ステーションの業績が回復した事で、もうガソリン代は自腹にしなくて良いのだけど、それだとこの訪問看護ステーションに醍醐味が無くなってしまうという理由、ガソリン代は自腹のままだけど給与アップをすれば良いという事になった。

ガソリン代は自腹だけど、訪問看護ステーション職員の給与は月53万。職員の数もうなぎ上りに上昇した。

いつの間にか、それでも業績上昇が止まらないために、精神科・内科を問わずに他の訪問看護ステーションを訪問看護ステーション「おさかな」は買収するようになっていた。

買収された訪問看護ステーションも訪問看護ステーション「おさかな」からの指示により、ガソリン代は職員自腹で、利用者が拡大していった。

そして、訪問看護ステーション「おさかな」はいつの間にか全国の約80%の訪問看護ステーションを買収し、日本の政界にも発言権を持つようになっていった。

訪問看護ステーション「おさかな」の買収は日本に飽き足らず、中国やアメリカなどの訪問看護ステーションも買収するようになっていった。

世界の八割の患者が日本の訪問看護ステーション「おさかな」の利用者になっていた。

日本からグーグル、アマゾン、アップルのような企業が現れない事を日本人は憂いていたが、遂に登場した。

これだけ大きな規模になった訪問看護ステーション「おさかな」は飽き足らずに政界に進出した。

経済規模が大きすぎるために、選挙費用を捻出するのは簡単だった。当選。

その一方、訪問看護ステーション「おさかな」は世界中の訪問看護ステーションの買収を殆ど終えていたために、全く関係がない業種も買収するようになっていた。日本の有数企業が訪問看護ステーション「おさかな」から買収されるのは時間の問題と化していた。

訪問看護ステーション「おさかな」の政界進出も拡大していき、国会議員の半数以上は訪問看護ステーション「おさかな」と間接的繋がってしまっていた。

訪問看護ステーション「おさかな」の代表は実は反中主義、国粋主義者だった。国会議員の半分を訪問看護ステーション「おさかな」が牛耳ったところで、次の目標は日本の核武装。

もちろん、日本国内に核武装に反対する日本人も多く登場したが、訪問看護ステーション「おさかな」の経済規模が大きすぎるために殆どの日本人は逆らえなくなってしまっていた。

日本は核武装した。

時間が経過して、訪問看護ステーション「おさかな」の代表は死に、最初の職員「高野」がその後任を継いだ。

しかし、高野は重度の精神病者である。それでも、経済規模が大きすぎるために経済界、政界は訪問看護ステーション新代表「高野」に逆らえなくなっていた。

高野は前の代表と同じく、反中主義だった。

高野は言った「中国に核兵器を打ち込みましょう!」。

もちろん先制攻撃は本来、憲法違反だ、しかし2050年、中国の軍事費があまりに巨大化していたために日本が中国に攻撃される前に中国の軍事基地に限定し、先制攻撃するなら、自衛の範囲なのでは?という法解釈が法曹関係者の大半を占めるように成っていた。

経済界、政界は高野に逆らえないために

遂に日本は中国に先制核攻撃した。

中国もそれに応じて、日本に報復核攻撃した。在日米軍も核の被害にあったために、アメリカは中国に報復核攻撃した。中国もアメリカに報復核攻撃した。

アメリカが核攻撃されたために、NATOの加盟国、英仏も中国に核攻撃した。

中国とその準同盟国ロシアはNATO加盟国全体に報復核攻撃を開始した。米英仏もロシアに核攻撃を開始した。

アメリカの支援が無くなったイスラエルに中東諸国は宣戦布告した。


地方の一つの精神科訪問看護ステーション「おさかな」が原因で第三次世界大戦が始まるとは

予想されていなかった。

訪問看護ステーション「おさかな」が無くても、いずれ中国が日本を攻撃や侵攻し、日米安保によりアメリカと中国の戦争が自動的に発生していたのでは?というのは歴史家に任せる。

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