好きと義務の狭間で
急に、食べられないものが増えた。
偏食ではなく、アレルギーでもないと思うのだけど、腸が吸収を拒否する。
そんな理由で下痢になる。
ついでに痛い。痛みの強さが摂ったものによって違うところまでは体感した。
地味にきつい。
好奇心と食い意地で構成されている身には、心の底からしんどい現実である。
ちょっと変わったモノとか、新商品で惹かれたモノの大半が、食えねえ。
調子にのって「このハラを賭ける!」とかやると、後で泣くことになる(でもやる
そして、好物がことごとくNG食品になりつつあり、自分は何が好きだったのかが次第にわからなくなってきている。
もともと趣味のひとつに、製菓製パンがあった。いや、まだ過去形じゃないはず。
好奇心と食い意地と、ノリとイキオイで突然作りだす謎の人。
趣味だから続けられるタイプ。
それが、ある日突然「食べたかったら自分で作るしかない」状態になったら。
きっついわー。
「好き」を仕事にできない典型的な人だから、尚更。
食べられないものを一つずつ除去しながら調理をし続けていった結果、苦痛になってきた。
でも、作らなきゃ食べられない。
命にかかわる症状が出るわけでないとはいえ、これだけしんどい思いをすると、食物アレルギーの人の苦労がなんとなく解るようになってきた。
食べられないのはわたしだけだから、家族のために用意はする。
スイーツを買いながら「く……くやしくなんか……、いや、やっぱ悔しいな」と口走ってみたり。
調理中の味見すら危険になった料理は、レシピ完全固定にしたものの家族が食べるまでドキドキしてみたり。
笑いに昇華しなきゃ、やってけない。
素直に病院いけよと言われそう。
ただこのご時世、かかりつけ医がないとこういうときに不便。