カメムシ
カメムシが出てきます。
本体の描写はありません。
ただの動向観察という名の「わたしの奇行記録」ではありますが、なんにしても虫ネタのため、お嫌いなかたはブラウザバックをお願いします。
「訪問者が多すぎる」回のさいごでさらっと書いた、カメムシ。
ちょくちょく家の中に入ってきてしまっていて、見つけては捕獲、外へという手法をとっている。住宅街の中の、ほとんど木とかないアパートなんだけどなあ。周辺の戸建の家の庭の方が、よっぽど居心地いいだろうに。土もあって。
稀に不幸な事故に見舞われる。うっかり素足で踏んじゃうとか。素足でよかった。
そんなある日のこと。壁とベランダストッカーの間に潜むカメムシを、見つけてしまった。
こういうのだけは速いんだよな。田んぼにめだかとかエビなんかを見に行ったはずが最初に見つけるのは常にヒルとか。
そう、見つけてしまったのだ。見なかったことにしたい。
「ちょっとカメさんあんた、なんでこんなとこにいるの。もっとあったかいとこに行きなよ~」
あぁー……。やってもうたーー。
秋にも、ベランダストッカーの縁にいつの間にかカメムシがとまっていて、危うく蓋をしてしまうところだったため(気づけてよかった……)
「ちょっとカメさん、あんたそんなとこにいたら危ないでしょー!」
とやったのを、お隣さんに聞かれているというのに。
まあ、各種トリさんに話しかけてるのも日常だから、気にしたところで今更感。
とはいえ、今冬よ?
啓蟄までまだひと月以上あるんだよ?(現時点ではあと半月と少々
どっからきたんだキミは?
以来、洗濯物干し等でベランダへ出る度に、カメちゃん(三日目くらいに名付けた)の様子を確認するようになっていた。
「カメちゃん、動いてない。生きてんのかなあのコ」
「壁にしがみつけてるなら生きてると思う。引っ掛かってたらわからんけど」
「こわいこと言わないで~」
一週間後。
「! カメちゃんの向き変わってる!」
「おお、生きてた」
思ってるより元気なのかもしれん。
「またカメちゃんの向きが変わってる! こう向いてたのが、こう!」
身ぶりつき。マスコットの観察じゃないんだから。
何日か、ちょこちょこ向きをかえるカメちゃん。同じ場所なのはなんでた。
一三日後。
「あれ、カメちゃんいな……いた! 床に降りてるー!」
ベランダの床にいた。
「明日雨予報なんだけど。安全な場所に避難しなよ~」
どしゃ降りだと床が水没するぞここのベランダ。ちゃぷちゃぷ。
幸いなことにそれほどの降りにならずに済んで、雨の翌日。晴天である。
「カメちゃーん、……あれいない」
「カメちゃんいなくなってるぅーーー」
そんなことで家族をたたき起こすな。
カメムシのいた辺りまで雨水は届いていないはずだから、どこかへ飛んでいけたのか、はたまた運悪くトリさんに見つかってしまったのか。
まだヤモさん(やもり)は出てこないしな。ヤモさんが食べるにはちょっと大きい個体だったと思う。
カメちゃん観察の日々は半月ほどで終わってしまった。
いや終わった方がいいのか。
なんだか謎の愛着が。




