ちがうのか
二キロ入りの品を求めてスーパーの米売場をうろうろしていたら、見慣れないパッケージの米を見つけた。
国産米のブレンド米である。こちらは五キロ入り。
気にはなるけれど、自業自得とはいえ実験的に食べてみている米でこのところハラがやられ続けている現在、ブレンド米は危険でしかないから、とてもではないが手を出せない。
最悪を想定すると、腹痛に見舞われるから。そこは可能な限り避けたい。
価格を見てみると、やけに安い。
これが噂の随意契約米かな? このスーパーが契約したという話は聞いた記憶がないのだが。
と思いきや、脇に但し書きが貼ってあった。
令和六年、あるいは五年、令和六年と五年のブレンド米であること、随意契約米「ではない」がこの価格を実現できた、ということが書かれていた。
ブレンド米はなんのブレンドかなんて、小売店がわかるはずもない。これがギリで出せる情報量なのだろう。
へー。
そっかー、随意契約米ではない、のか。
といっても冷静に考えてみれば随契米はまだ世には出てこないよな。流通網に乗ったくらいかな?
「本当? 備蓄米のアレじゃないのね? 古くないのね?」
ぉぅ。
どうやら前半が声に出ていたらしい。隣に立った知らないご婦人から突然声をかけられた。
「令和六年と五年のお米って書いてあるので、いって古米くらいですかね~……古古米まではいかないと思います。去年と一昨年にとれたお米ですし。でもこれが備蓄米かどうかは、ちょっとわかんないですごめんなさい」
政府が出してきた備蓄米の可能性はなくはない。その可能性とは、随契米の前の入札米である。このスーパーの規模的に、可能だったかといえば謎はあるが。地元おんりーの店だし。
「安いお米があるからってお父さんに電話したら『そんな得体の知れないものは買わなくていい』って怒られちゃって」
言う方も聞く方も、苦笑いである。お父さんの言いたいこともわかってしまうからなあ。しかし、得体の知れないものて。
「気にはなりますけどね~」
と、笑って別れたのだが、あのご婦人は納得されたのだろうか。主食だけに安価に手に入れたい気持ちは共通でもあるし。
この米、翌日にはもうなくなっていたらしい。そこそこ積まれていたけどな。
うう、米を選ばなくても食べられた体に戻りたい。
きっと、単一銘柄の備蓄米は一般販売用には出てこない。




