表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
224/261

鬼門のバナナケーキ

昔からバナナケーキを焼くのは苦手である。

どういうわけか、ういろう化するからだ。

ういろう化と聞くと、ういろう好きなかたが反応する。しかし、少しだけ考えてみてほしい。


……表面、焼かれてんで?


ういろうはういろうである。そして、バナナケーキはバナナケーキである。

何をいっているのかわからないかもしれないが、この二者の間には非常に深くて長い川があるのだ。あるいは、高くそびえ立つ山脈。絶対に越えられないナニかが、そこには確かに存在する。


先日、長らく思い悩みながら先送りし続けていたハンドミキサーを、必要に迫られて購入した。

しかし、ほぼ同時にやってきた最大の障壁、豆乳クリームはまだ開封していない。一〇〇〇ミリリットル入りだから、計画を入念に練ってからでないと。最終的には冷凍保存するのだが、冷凍してしまうともうホイップとしては使えないからだ。生クリームをホイップしてしぼり出した状態で保存し、そのまま使用する理由が同じように適用される。

冷凍したら、水分が凍る。解凍したら当然、凍っていた水が溶けて分離する。分離してしまった油脂分と水分は、撹拌してももう混ざらない。

科学的根拠を調べてみたことはないが、ホイップすることで含まれる空気がなんらかの役割を担っているのではないかと考えている。


豆乳クリームを泡立てる予定はまだ先である。それでもハンドミキサーが使ってみたい。

バナナがなぜか余っている、しかも熟れすぎで。こうなると夫はもう加工しない限り食べない。


バナナケーキだ。



たまごをハンドミキサーで泡立てることにする。メレンゲではなく共立てで。

あたためておいたたまごに、さとうを数回に分けて加えながら撹拌していく。


くっさ!


モーター焼けるニオイ、くっさ!!


新品の洗礼を受ける。換気扇を回していてよかった。気が紛れる。

これはなかなかにパワフルである。ちょっと泡立てすぎたかもしれない。


しかし、コンパクトなところが欠点となっているようにも思う。泡立てを終えてワイヤを外そうとしたら、本体あっつ。七分以上連続使用するなって、こういうことか。妙に納得した。

義母のハンドミキサーはここまで熱くならなかったもんな。


潰してレモン汁を混ぜておいたバナナを加え、ゴムべらで混ぜる。薄力粉をふるいながら加えたら、ゴムべらで底からすくうようにしながら混ぜていき、まだ粉気が残っているところで、溶かしバターと牛乳を合わせておいたボウルに少し生地を移して混ぜたものを戻し入れ、ツヤが出るまで混ぜる。


フライパンに流し入れ、表面を平らにならし、蓋をして弱火にかける。


焼いている間に洗い物をしておこうとしたら、放置しすぎて盛大にコゲた。

めげずに上下を返して少し焼き、取り出したら……なんかめっちゃしぼんでるんですけど。あら熱がとれる頃には、高さがフライパンに生地を流し入れたときの半分以下になっていた。


まあ、あれよね。


一、たまごが古い

二、バナナが多い

三、一気に焼き固めなかった


たぶん、二番目と三番目の合体技。


味は悪くない……というかバナナが濃厚。可能性が高いのは二番目かな、原因。

バナナがダメになったかもしれない疑惑の検証にはちょうどよいかも。


オーブンで焼くレシピのものをフライパンで焼いたのが悪かったのかな。でも見た目ほどういろう化はしていなかった。泡立てたたまごの力と思われる。

ガスコンロについているSIセンサーの揚げ物機能で温度設定を使用しているのだが、設定温度に達するまでは中火か強火の方がよかったのかもしれない。じわじわと温度が上がることで、せっかくの気泡が消えてしまった可能性を考える。


というか、そもそもで粉が少なかったような、参照レシピ。


たまごとバナナ、表面に粉みを感じる。そんな感じである。

表面が荒れているせいか(オーブンペーパーを使わなかったから)「(表面が)コロッケみたい」と揶揄した夫には分けてやらないという意地悪をする。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ