腹八分目
ダイエット、または健康を意識するとどうしても「腹八分目」という単語がチラつく。
しかし、この腹八分目というのがなかなか難しい。なぜかといえば、自分の思う「腹八分目」と、胃の「腹八分目」の容量が違うからだ。
どういうことか。
胃は、筋肉でできている。詰め込むと、ある程度のところまでは自動的に伸びる器官なのである。多少(多少?)容量オーバーしたところで、普通に入ってしまう。
となると、腹八分目の正解はどうなるかといえば……。
自分の中で「そこそこふくれているけれど、なんとなく物足りない」と思う状態が、胃の腹八分目となるのだそうだ。
気分的に「これが腹八分目かな」くらいの満足感を得ている段階で、既に胃の容量としては一〇〇パーセントになっているとのことで。
「満腹」を覚える段階となると、胃の容量としては一二〇パーセントであり。この時点でだいぶ伸びている状態となり、それをさらに超えた「お腹いっぱい」ともなれば、胃の容量一五〇パーセント、あるいはそれ以上という。
――どこまで伸びんの、胃。
知ったときに思ったのが、これである。
常にお腹いっぱいまで食べてしまうと太るのは当然のことなんだなあと思ったものだが、学習機能が搭載されていないか、あっても機能していないわたしは今日もいっぱい食べてしまうのであった。ごはんおいしいです。
道理で食欲全盛期はよく「胃拡張」と言われたわけだと、妙に納得したのであった。
いわゆる大食い(フードファイターとか)の人の胃は、一体どうなっているのだろうか。
わたしの胃はそこまでは大きくなかったようだから、ちょっと気になってみたりする。今さら大きくしようとは思わないけれど。一般的なサイズがいいわ。
病気などで食事がろくに摂れず「胃が縮んだ」というそのサイズ、少食の人のそれはとても心配になるのだが、わたしに関しては「もとの大きさに戻っただけでは?」といわれそうである。うん。
その後の人生、ちょくちょく「腹八分目」を意識する食生活にしようと試みて、いつの間にか元に戻っている。
おかしいな。




