食べられるパン
乾パンを買い置いておこうとしたら、あっという間におやつでなくなりました。
あほだろ、わたし。
その辺で買えるパンはフランスパンですら乳成分を含んでいることに絶望してからしばらく経つ。まさか「発酵風味料」に乳成分からできているものがあるだなんて思わないじゃないか。
食べたければ自分で焼くしかないのか……とげんなりする、すっかり怠惰になったわたし。以前はほぼ毎日なにかしら焼いていたのに。道具でモチベーションって上下するんだなあと、謎の納得をみた。
とある日の出先には、守山ベーカリーというパン屋さんがある。ここは昔、コメダ珈琲店にパンを卸していたところだ。現在のコメダがどこのパンを使っているかは知らないが、守山ベーカリーのパンの頃はときどきモーニングを利用していた。そういえば、八事のコメダはお店でパンを焼いていた記憶があるのだが(パンを買って持ち帰ることもできた)、今でもやっているのだろうか。やっていても食べられないけれど。
それはさておき、何年も前の話になるがこの守山ベーカリー、知らない間にしばらくパン屋さんの運営を休止されていたのが再開されたと知ったときはけっこう嬉しかったものである。
このパン屋さんは再開時に小売りのためのお店を用意していて、その名をナビィのパンという。
おいしいのは知っているから、そちらへ向かうときは大抵帰りに寄っていたくらい、ここのパンはすきだった。
乳成分に敗けるカラダになるまでは。
お店のある方面へなかなか行かなくなって久しく、この日たまたまそちらへ出向いたから、一応確認してみようと立ち寄ることに。
すきだった食パンは当たり前だが乳成分が入っている。確認するのは当然、フランスパンだ。ここは二種類のフランスパンを、それぞれバゲットとバタールにして販売している。
トラディションバゲット・バタールと、ライトバゲット・バタール。どう違うのかといえば、トラディションのほうは表面がパリッとしていて、両端が少しとがっており、中の気泡も大きい、小麦らしさを感じるいかにもフランスパン然としたフランスパン。ライトのほうはトラディションよりも表面が柔らかく食べやすい、軽い食感のフランスパン。ライトは大手製パン会社が出しているフランスパンと同じタイプである。
一時はお店の人がこの商品名を「バゲット・バタール」という一品と認識していたようで、バタールをくれと頼んでいるのにバゲットの方を包もうとしてくるのに閉口したという愉快な思い出がある。だったらなんで太さと長さが違うんだよーぅ! と叫びたいのをこらえて(四回ほど訂正はしたのだ)、諦めてお店の人が手にした方を買って帰った。
その後お店の人の認識が訂正されたかは不明である。あのときの人いなかったし。
フランスパンは、昔(フランスの)法律で重さと価格が細かく定められたとかいう歴史があるせいか、やたら種類が多い。重さは同じでも太さと長さが違うことで名前か変わる代表例がバゲットとバタールだったりする。調べてみると面白いのだが、覚えられないし頭がこんがらがる。
街のパン屋さんで売ってる同名のパンと全然違うじゃねえか! というのも混乱に拍車がかかる。名前とクープ(切り込み)の数が一致しないとか、明らかに名前とモノが違うよねというものとか。その店の商品名として割りきれないと、モヤモヤしながら食べることになる。
知るのが問題なのか、これ。
さて、店内を見てみると以前よりもアレルゲン表記が見やすくなっていた。お店の人もいろいろ大変だなあと思いながら、とりあえずバゲットの表記を確認。乳いない。
これは、買うしか。
以前はカウンターの向こう側にあったため、お店の人を呼んで取ってもらわなければならなかったが、現在は自分で取れるようになっていた。バゲットもバタールもあったからどちらにしようかしばし悩んで、今回はトラディションのバゲットを選択。
口にしてみれば、乳成分を含んでいたフランスパンを口にしたときに感じた違和感がない。まじで食べていいパンだ。うれしい。
よく噛み締めて、ちょう久々のフランスパンを堪能した。
しかし、即売した。買った当初から狙われていたらしい。しくしく。
フレンチトースト(豆乳)とか、チーズトースト(豆乳シュレッドで)とか、そのまま食べるだけでなくいろいろ考えていたんだけどなあ。
人生こんなもんだよなあ。と、無駄に主語を大きくしてみたりする。
しかし食べたい一心で通うには店が遠いんだな、これが。




