芋ようかん(写真があります)
「混迷を極めるおせちの準備」回で出てきた、もらってきた巨大さつまいもたち。ひとつ当たり四〇〇~五〇〇グラムあるのがゴロゴロしている。
使い道はあるのだが、作って冷凍した栗きんとんが消費できていないのもあって、どうにも重すぎる腰が上がらない。早くしないと芋が傷んでしまう。
せっかくもらったのに。
とりあえず一本(形状的には一個といいたいくらい、ころんころんな見た目だ)切ってみる。なんだか断面が変。
うっかり写真を撮り忘れたのだが,これは芋にすが入っていた。あんなに大きかったのに。まるごとスケールに乗せたら六〇〇グラムを超えていたから、厚めに皮を剥いても五〇〇グラムくらいは使えただろうに。
どう見ても食不適。食べられないことはないが、どうがんばっても美味しくはいただけない存在。
大きすぎたのがよくなかったのだろうな、作物だから仕方がない。
あらためて、次の芋を切る。こちらは大丈夫。
皮を剥いて適当な大きさに切り、水にさらして灰汁抜きをする。途中で数回水を替えるが、基本は放置。
柔らかくなるまで蒸す。切ったときの手応えがやたらよかったから、たぶん繊維もかたいため裏ごしをすることが既に決定している。潰しやすいように余分に蒸すことにする。
裏ごしは途中で泣きが入った。久しぶりなのに多かった。
「もうヤだ~」「飽きた~」と駄々をこねながらがんばる。だって食べたい。
こういうとき、フードプロセッサーがあると楽なのだが。収納都合でいろいろ見送り続けている。
蒸す前に量った芋の正味量の一割用意した砂糖と、塩を少々加えて混ぜる。
ここは少し色を気にして、上白糖を使う。塩を入れすぎる。まあいいや、きっと誤差の範囲。
よく混ざったら、流し型へ押し込む。
まずは四隅から。とにかくぎゅうぎゅうに押し込む。しっかり詰めて空気を抜かないと、きれいに仕上がらないのだ。
四隅が埋まったら、残りを入れてこれまたしつこく押さえる。
そして気づく。
型がでかい、あるいは芋が少ない。
おかしいな、芋と砂糖で五〇〇グラムくらいあるはずなのだが。思ったより高さがない。
これだけしかないの……あんなに裏ごしがんばったのに……。
気を取り直して上面を平らにしたら、ラップをして冷蔵庫へ。よく冷やして切り分けたら完成。
片付けの洗い物を始めて、裏ごし器に残った芋の繊維に笑う。水をかけたらふわふわになって増量するのだ。ふわふわといってもかたいけれど。
網に引っ掛かって取れないものは水をかけながらブラシでこすり落とす。
そして思う。さつまいもを裏ごししたあとって毎回同じところで笑ってないか。
よく飽きないものである。
少し詰めが甘かった。空気が抜けきれなかったことで、表面が荒れている。
そして、少し水分が多かった。やわらかく、たよりない。
さらに予想通り、塩は入れすぎであった。なじんだら落ち着くかと期待した通りにはならなかったのだ。芋の甘味をくどく感じるほど入れてはいけない。
塩あんことは違うのだ。
砂糖を入れてから、水分を飛ばすために練り上げた方がよかったのかもしれない。
そしてやっぱり、予定より高さがない。
でもこれ以上芋を増やしたら消費できないわ、いくら好きでも。
流し型ではなく保存容器で作った方がよかったかもなあ。




