そんなところに入れてくれるな
わたしは料理に清酒か日本酒を使用している。料理酒に添加されている塩分がどうにも馴染まないのだ。慣れればよいのだろうが、塩は塩として入れたい。
買いに行く店は時折品揃えが変わるため、よく使用している銘柄がないこともある。だいたい二~三品をいったりきたりしていたのだが。
なんで全種なくなったん……。
正確には、その銘柄はあった。二リットルや三リットルのパックで。
飲むわけではないから、そんな大容量サイズは必要ないのだ。掴みすぎでパックの紙が弱ってしまう。二リットルパックのときにやらかして以降はこまめに買うようになった。あの頃は作る料理の量もえげつなかったので、普通にデカいパックを買っていたのだ。
そこまで必要としなくなった現在、せめて九〇〇ミリリットルサイズのパックでどうにかならないかと選び始めたのだが、ふと思い立って原材料を確認するととんでもないものが目に入った。
米、米麹、醸造アルコール、糖類
はい?
陳列されている商品の、三割近くに「糖類」の表記があった。
思ったより多い。
添加されている醸造アルコールは、おそらくホワイトリカーと同様に糖蜜から作られるものと仮定すれば、さとうきびが原料。セーフ。
これもできればない方がよいのだけれど、醸造アルコール不使用の以前使っていた銘柄は数年前からめっきり見なくなったのだよな。だから諦めた。
そして糖類……。ざっと調べてみた感じでは主にぶどう糖や水あめということだが、製品の価格から考えると液糖の使用が否定できない。「主に」だし。
甘味の調整のためということだが、ぶっちゃけ以前から飲む方の日本酒を苦手としているわたしには違いがよくわからない。
安酒を求めるわたしが悪いのか。
だって料理に使うのに高級品はもったいない、というよりも風味が邪魔するのではないかと考えている。安酒で十分なんだよなあ。
それにしても、これまでよく糖類入りの酒に気づかなかったな。というか選んでいなかったな。と、使用していた銘柄を思い返して自分に感心し、自画自賛する。
なんとか妥協点を見いだして、新しく取り入れた銘柄を買う。
新しいといっても、以前から販売されている銘柄である。特に問題なく利用できるだろう。
それにしてもなんでなくなってしまったのか。酒を求めて店のはしごはちょっとばかり面倒である。
酒の販売をしているお店が徒歩一〇分圏内に五軒もある(知らない間に増えていた)のが悪い。どこも見られる品が酒だけでないから、むしろ他の品(菓子やつまみ類)につられてしまう。食べられるものも少ないのに。
目の毒。




