混迷を極めるおせちの準備
年の瀬に出掛ける予定を入れたがために、いつもと違う動きをする年末。
いつもなら黒豆を煮ている日に出掛けるから、前日に煮た。出掛けている間に煮えた豆に味をふくませると思えば、これもまたあり。鉄の鯛が入れっぱなしなのを忘れていて、若干鉄臭い仕上がりになったことを除けば。
鉄の鯛は、鯛の形をした鋳鉄のアイテム。鉄分補給に茄子や黒豆の発色の手助けなどに使われる。黒豆を煮るときにしか使っていないのもあって、あさりやしじみの砂抜きに使えるのは知らなかった。
実家から、ご近所さん(町内会レベルで隣町)の畑(という名の家庭菜園)でとれた野菜のお福わけをもらった。やけに重いなとは思っていたが、まさかのさつまいも二キロ以上。
「切るのが大変だから、大きいのは全部持ってって」と言われただけのことはある。一個あたり四〇〇~五〇〇グラムある。
黒豆に渋皮煮をのせるつもりをしていた(かちぐりの代わり)から、今年は栗きんとんを作らないつもりだったのに、これだけさつまいもがあったら作るしかないわなあ……。
で、栗の甘露煮を買ってきて作った。
買う栗きんとんは甘すぎるから、とにかくよく茹でたさつまいもをゴムべらで練りながら砂糖とはちみつを加え、混ざったところ(少し冷めてる)に切った栗としぼった柚子果汁を。冬至用に買ったものから拝借した柚子である。
日保ちしないから、ラップで茶巾に整えたものを冷凍する。寝る前に食べる分だけ冷蔵庫にあげておけばよい。
田作りはから煎りして調味料を適当に煮詰めたところに絡める。酢を入れることを覚えてからは、田作りがひとかたまりになることがなくなった。そしてさっぱり食べやすい。もともと好きなものだが顎が疲れても食べられる魅惑の品になってしまった。危険。
そして、なぜ酢を入れると塊にならないのかがいまだにわからない。
数の子は生協で買う少量のものを塩抜きして掃除したら終わり。食べるときに鰹節を少しのせたところにほんの少ししょうゆを垂らす。
かまぼこと伊達巻、そして昆布巻きも少量のものを買う。
煮しめは真面目に作ると多すぎるから、ごまかしの筑前煮。
一種類ずつ、個別に煮るのよね。微妙に出汁の種類も変えるし、味付けも違う。間違えそうになる。もういいじゃん、ごった煮で。
というところで、たいへんなことが発覚。
板こんにゃくがねえ。
あると思っていた板こんにゃくが、糸こんにゃくだった衝撃。
なんてこった。買いにいかねば。
ぶりの照り焼きは、冷凍庫に押し込まれているはまちで代用。
「出世してないじゃん」
「出世する余地がある!」
売場にあったぶりの切身、脂が多すぎて……。




