フレンチトースト
フレンチトースト。あるいはパンペルデュ・サレ or シュクレ。
サレは塩、シュクレは砂糖を意味するフランス語。甘いか甘くないか。
パンペルデュとは、失われたパン、とか、駄目になったパン、という意味のフランス語で、早い話が「時間が経ってカタくなったパン」の救済措置。
我が家はカタいフランスパンを大喜びで食べる人がいるため、作りたかったらパンを先に確保しておかねばならない。
わたしは牛乳がアウトな身体になってしまったので、味見すらすることなくただ作るだけになった。くっくやしくなんかないやい(負け惜しみ
牛乳を使ったクリームパスタを作って食べたら思ったより平気だったことに気をよくして、フレンチトーストを焼いて食べたところ、えらい目に遭ったのだ。
フレンチトーストより前に作った、女王のパンケーキ(エリザベス女王のレシピ)は平気だったのに!
おそらく、牛乳の量と加熱具合による差だったのではないかと予想している。
ところがこの女王のパンケーキ、ものは試しと牛乳を豆乳に置き換えて作ってみたところ、これじゃない感がすごかった。これはこれでいいのだけど、本来のレシピに沿った方がいいと思った。
とはいえ、レシピにあったクリームオブタータは使いきれる気がしないから、香料の入っていないレモン汁で代用している(酢でもいける)。ベーキングパウダーだとなんだか膨らみが弱かった。
我が家には「甘いフレンチトーストが食べたい人」と「甘くないフレンチトーストが食べたい人」が存在する。この家、ものすごくめんどくせえ。
オーブン大活躍だった頃はよかった。天板二枚に両方のせて一度ですんだから。
しかし、オーブンも電子レンジもない暮らしをしている現在は、焼くならフライパン。
えぇぇーーー……。焼くけど。焼くけれどもさ。
パンケーキ焼くのと変わらないさ……パンケーキより時間的には短い。
このものぐさは、一度ラクすることを覚えるとどうにもすぐに手を抜こうとしていけない。
グリルで焼くことも考えたのだけど、あいつはなんでも炭にしたがるからダメだ。グリルパンを使ったケーク・サレ(甘くない惣菜ケーキ)は普通に焼けたけど、甘いケーキは中が焼ける前に上面が炭化した。
酒粕を発酵させて丸パンを焼いたときも、三十秒くらい目を離したら炭化した。とりあえず置いといたらなくなっていた。誰だ食ったのは。
うまく焼ければおいしいのだけどねえ……なにぶん炭化とのたたかいが鬱陶しい。
トーストはグリルで焼いている。直火焼きおいしい。フライパンで焼いたらテフロンがダメになるのがやたら早かった。鉄鍋推奨ってことなのか?
まあそんなわけで、以前よりも断然めんどくさがりながらも、たまーに作るフレンチトースト。食パンで作るよりもフランスパンで作るものの方が喜ばれる我が家。思い立ったら作れる品ではない。
だいたいひと晩、半日で皮まで染みてくれるかどうかだ。あれか、毎回三センチくらいの厚みに切るからか。
フレンチトーストに舌鼓をうつ家族を横目に、ひとりトーストをかじる。
ああ、カフェオレが飲みたい……。
 




