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5話

 エリック王子様を救ったその日の夜。私は晩餐会を開いて貰い、盛大にもてなして貰う──。


 酔った王様が私に近づき今回の褒美として、土地や家を用意してくれると言ったが、そこまで必要でなかった私はやんわりと断った。


「そうか……では、エリックとの結婚はどうだ?」

「え……」

「不服か?」

「不服とかではございませんわ。ハンサムで、自ら魔物退治に出向く程、民を思っていらっしゃる、とても素晴らしい方だと思っておりますわ。ただ──」


 その先を何と言えば良いのか迷った私は、言葉を詰まらせる。


 すると御后様が近づいて来て「あなた。そんな話を行き成りしてはいけませんわ。困っていらっしゃるじゃないですか」と言ってくれた。


「そうか……いや、すまぬ」

「いえ、とんでもございませんわ」


 ふぅ……御后様のお蔭で助かりましたわ。私はまだ、のんびりと旅を楽しみたくてよ。


 ※※※


 しばらくして晩餐会が終わる。今日は城に泊まらせて貰い、明日、また旅に出発することにした。


 ──次の日の朝になり、朝食を頂くと城門を出る。すると「メリル様」と、男性の声で呼び止められた。


 私が足を止め、振り向くとそこにはエリック王子様が立っていた。


「見送りに来て下さったのですか? ありがとうございます」

「いえ、命の恩人ですから、当然ですよ」


 エリック王子様はそう返事をすると落ち着かない様子で頬を掻く。


「あの……昨日の父の話、聞きました。お気になさらずに……」

「いえ……せっかくのお話なので、ゆっくり考えさせて頂きますわ」


 私がそう答えると、エリック王子様は子供の様な笑顔をみせ「分かりました! またいつでもお城に寄ってください。歓迎しますよ」と、元気よく返事をした。


「はい。是非、寄らせて頂きますわ」


 こうして、しばらく何不自由なく暮らせるほどのゴールドを貰った私は、また旅を再開する──贅沢して馬車に乗って、隣りの港町へと向かった。


 ※※※


 それから数日後──。


「んー……潮風が気持ちいいですわね」と、背伸びをしながら、のんびりと町を眺めて歩いていると、町人の会話が聞こえてくる。


「ねぇ、オーチェンスターの話、聞きました?」


 え……お父様が治めている村の名前ですわ。私は気になってしまい、足を止める。


「聞いたわ。領主様の執事が、モンスターを使って悪い事したせいで、襲撃されてるって話でしょ?」

「そうそう、怖いわね……明日にはイニティウムが襲われているんじゃないかしら?」

「あり得る話ねぇ」


 私は追放された身……帰ったら嫌な思いをするかもしれない……だけど、あの町には私を慕ってくれてる大切な人達が居るし、景色だって大好きだから守りたいですの──よし、決めましたわ! 


 私はグッと拳を握ると、急いで船着き場に向かった──。


 町人の予想通りオーチェンスターからイニティウムに向かっているなら、イニティウムに入る前にどうにかしたいですわね……となると、あそこで迎え撃つしかなさそうですわ!


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