貴方が私の勇者様
どれだけ叱咤しても動いてくれない体
指先ひとつ私の思うとおりに動いてくれない
それでも私の目に映る貴方は
どこまでもまっすぐに、倒すべき相手をその瞳に見据えて
迷うことなく前へ前へと
傷つきながらも戦い続ける貴方の隣を走り抜ける貴女
私では追いつけない場所で
私ではたどりつけない速さで
貴方の隣で貴女は剣を振るう
本当はずっとわかってた
私では貴方の隣に立てなくて
私では貴方に追いつくこともできなくて
貴方の隣で駆け抜ける貴女
きっと私が追いつけなくても貴女が隣にいてくれる
きっと私がたどりつけなくても貴女が一緒に歩いてくれる
だから私は安心できる
私がいなくても貴女が貴方と歩き続けてくれるから
だからそんな顔をしないで
振り上げた剣を迷うことなく振り下ろして
私でない私が
貴方を傷つけてしまう前に
貴女ではない貴方こそが
どうか私を終わらせてくれますように