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壊れかけの断章

貴方が私の勇者様

作者: 石見の人

どれだけ叱咤しても動いてくれない体

指先ひとつ私の思うとおりに動いてくれない

それでも私の目に映る貴方は

どこまでもまっすぐに、倒すべき相手をその瞳に見据えて

迷うことなく前へ前へと


傷つきながらも戦い続ける貴方の隣を走り抜ける貴女

私では追いつけない場所で

私ではたどりつけない速さで

貴方の隣で貴女は剣を振るう


本当はずっとわかってた

私では貴方の隣に立てなくて

私では貴方に追いつくこともできなくて


貴方の隣で駆け抜ける貴女

きっと私が追いつけなくても貴女が隣にいてくれる

きっと私がたどりつけなくても貴女が一緒に歩いてくれる

だから私は安心できる

私がいなくても貴女が貴方と歩き続けてくれるから


だからそんな顔をしないで

振り上げた剣を迷うことなく振り下ろして

私でない私が

貴方を傷つけてしまう前に


貴女ではない貴方こそが

どうか私を終わらせてくれますように

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