プロローグ
一人少年
GEN作
2147年、日本は金や銀、銅が無くなり資源不足になった。
それによって社会やインフラに大きな影響が及び、社会に混乱をもたらした。
機械製品はもちろん、電気を作る事ができなくなり、電気会社はどんどん潰れ、飛行機や自動車なども不足してしまった。
「これは国家一大事ですぞ」
副大臣が言った。
「当たり前だ。元々日本は資源に恵まれておらん。輸入ばかりだ」
首相は呆れた顔で言った。
「だいたい、日本が想像以上に発展途上国だったからですよ」
「外国なんかエネルギーをゴミで作れるんですよ。資源も放置されっぱなしで錆がある物しかありません。これじゃ輸入すら出来ない」
議員たちがもう終わったかのような顔をしている。
「ならば簡単だ。その資源を使える様にしてもらうよう、要求すれば良いのだ」
「はい?」
政務官が思わず言ってしまった。
そもそもこの首相は、ほとんど考えずに単刀直入に言う。
政務官は毎回この首相が発言するたび、怒りが腹の底から込み上げてきた。
こいつのせいでろくなことが起きないと思ったからだ。
「とにかく、この事を相手国に伝達するのは外相に任せよう。おい、誰か外相に伝えておくれ」
(あぁ、また人任せ)政務官はまたカチンときた。
その後は別の議題について会議し、解散となった。
翌日、最初から皆分かっていた結果が報告された。
「外相は報告をして下さったものの、不可能だとの相手国から返事がございました」
「何!?」
「何」じゃねぇよ、それが普通なんだよ。頭の脳みそどんだけ小さいんだよ。
政務官は口に出そうなくらい、イラついた。
「もういい、最も簡単な方法だ。前、議員達が『エネルギーをゴミで作れる』と言っていたよな」
「はあ」
「それを奪えばいい」
「何を言っているんですか、どう奪うんですか。他の発展途上国も奪おうとしてる。奪い合いとなれば、戦争勃発ですぞ」
副大臣は言った。
「うるさい!!全ては国民が出来るだけ安心して暮らせる様にする為だ!!」
「戦争をする事こそ、国民を不安にするどころか、殺される種になるのですよ?!」
政務官が思い切って発言した。
しかし首相は無視した。
(駄目だ、終わった)
政務官は確信した。この男により、歴史的悲劇を起こしてしまうのだと。