第1話 まえがき(昭和・平成・令和と続く時代……)(2)
う~ん、それこそ~?
本当に寝る間も惜しんで、機械仕掛けの人形若しくは? 歯車のように良く働く男(人)だったから。彼の背を幼少期から見て育った家の父も、また良く働く男だったのだ。
特に我が家の父の場合は? 彼の若かりし頃の時代にはバブル期と呼ばれた近代日本がさも輝いた黄金期時代に遭遇……。
そして? 生きた男だから事あるごとに、『本当に、あの頃は、何でも良く売れた~! だから我が社は儲かったのだ!』と。我が家の父は口癖のように……。
そう? お酒が入れば酔った勢いで、食事の最中に、息子である僕へと『バブル期は良かった!』とばかり告げてくるのだ。
それも? まるで? 今の平成から令和の時代での、我が家の商いが上手くいかなくなったことへの慰め、愚痴のように。良かった時代の象徴でもある昭和から平成時代のバブル期のことばかり褒め称えるのだが。僕にそのこと?
そう? 世に謳われたバブル期時代のことを褒め称え──。我が家の商い……。会社自体が儲かり、軌道良く経営ができ儲かったのだと告げられてもね。
今の『令和の時代』に入った。我が家の営む会社の経営状態が下向状態におちいっていることを知っている僕にはね。父が歓喜! 褒め称える! バブル期の時代の話し自体が夢物語でしかない。
だから僕は、父の話しを「うんうん」と、苦痛な表情で頷きながら聞くことしかできなかったのだ。
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