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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

日記 ある大学生の憂鬱

作者: 麺族

6月11日 私はどうしても自分の存在価値が見いだせない。親に頼んで大学に行かせてもらっているのに、何がしたいかとか何が好きとかとかが分からない。大学に進学してから、私は何をやっているのだろう。何がしたいのだろう。あまり真剣に考えていない気がするが、それでも頭の隅にはその問題が棲みついて隙を突いて出てくる。今日の講義も面白くなかった。最近、季節外れの風邪が全国的に流行っているらしい。親に早くマスクを買っておくよう言われた。


6月12日 今日ゼミ形式の授業で発表があったが、自分のレジュメの出来を講師にダメ出しされた。お前の意見を聞いたところで何が変わるんだ。単位さえ取れればそれでいいんだよ。咳をしてるし、声は小さいし、マジうざかった。風邪うつすなよとばかり考えていた。


6月13日 今日食堂を出た後のところでちょっと体調が悪そうな美人を見た。すごく可愛かった。だが、自分のような人間には手の届かない人なんだろうなと感じた。人間にはそれぞれ生まれ持った階級というものがあるのだ。






6月21日 自分を見つめなおそうとして、始めたこの日記も開始早々気にも留めなくなった。日付を見れば、1週間もほったらかしていた。これほど自分が何かをしようとしても、続けられないとなると、嫌になってくる。私は何のためにこれからを生きていくのだろうか?これからの事を考えると、就職の事だったり、奨学金の事だったり、結婚が出来るかどうかだったり、いろんな不安を感じてしまう。何もしたくない。







7月1日 夏休みに入った。何をしようか。将来の事を考えようか。大丈夫か、何とかなるさ。今日コンビニの帰りに、小学生が同級生にかみついているといういかにもらしい出来事に遭遇した。小学生なんてその程度だろう。些細なことで喧嘩をするし、好きな人同士を引っ付けようとする。本当に子供だ。


7月2日 夏休みの課題がだるい。部屋の掃除をやってみた。うちは一人暮らし用の6畳の部屋なので、コロコロや除菌シートで何とか床を掃除できる。実家にいたときは掃除なんてだるいと思っていたが、やってみるとなんだか楽しい。家政婦が出来るかも。でも、これじゃない。俺がやりたいのは。面倒くさいので考えるのはやめた。


7月3日 大家から、住民に向かって、注意書きが張られていた。最近、暴行事件が多発しているらしい。内容は、かみつくなどである。そういえばこの前もそんなの見たな。思い返せばあの時の小学生は正気ではなかった気がする。目も充血していて、血管が浮き出ていたような。喋っていることも無茶苦茶だった。とても気味が悪い。ゾンビじゃあるまいし。


7月4日 夏休みなのに、全然楽しくない。自分のいい所を探していても一向に出てこない。社会で生きていくのに自分のいい所なんか必要あるのか?今日久しぶりに親に電話をしてみたが、出なかった。仕送りがまだ振り込まれていない。隣の人は夕方からドンドンうるさいし、マジでつまらん。


7月5日 今日気付いた。自分の売りを作るには、何かに挑戦しなければいけない。今日、流行りの風邪のニュースの後に見た、情熱大陸でそう有名人が言っていた。こんなに他人の言葉が身に染みたことはなかった。なんでこんなことに気付かなかったのだろう。そうなのだ。俺は何もしていない。当然、新しい側面も生まれない。何もせずにいた自分から目を背けていただけなのだ。明日、久しぶりにマンションの外に出てみよう。散歩をするだけでも、いや外に全く出てなかった自分にとってはそれだけでも色々な刺激に満ち溢れているだろう。明日から少しずつでもいいから、変わっていこうと思う。

 

後悔しないように、考えて生きていく。

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