7 巨大な鉄の塊
「うお、やはりSFなのか?」
目の前に広がる光景に、僕は思わず呟いた。
ピンク髪の美少女に連れれて向かった先は少し開けた空き地のようになっていて、五名の男女がいた。
一人はピンク髪と同じような服装の男性。
あとの四人は、軽めの金属鎧をつけている。
だがそんなことより重要なのは、二つの巨大な鉄の塊だ。
二つとも同じ形をしているようだが。
一見すると無駄を省いた軍用車両を二つ三つ無理矢理組み合わせたように見える。
とは言えタイヤは見当たらない。
かわりに見えるには腕のようなものと脚のようなものだ。
これが手足と考えると、今目の前のあるのは、人型ロボットがぐにゃりとタコのように地面に横たわっている姿なのだろう。
もしかしたらこの体勢のまま動き回るのかもしれないが。
「どうしたベル?」
軽鎧の中年の男が声をかけながら近づいてくる。
どうやら僕を案内してくれた美少女はベルというらしい。
「冒険者」
少女が短く答える。
わざとらしく周りを見回す振りをするが、彼女の言う冒険者とは僕の事のようだ。
この冒険者とはあの冒険者のことだと理解していいのだろうか。
「彼が?」
男が訝しげに僕を見る。
そりゃ怪しいだろう。
上下ボロボロの服を着て、右手には機械の犬を引きずっている。
「ん」
言いながら少女がうなずく。
「そうなのか?」
男が僕に聞く。
答える術もなく、僕はただ愛想笑いを浮かべるだけしか出来なかった。