超強力扇風機
とんかんとんかん…。
博士がまたなにか造っています。
立野君は用事を言いつけられない距離を保って博士の方を眺めていました。
「今度は何作ってるんですかねぇ?」
「扇風機よ。温暖化対策だと言っていたわ」
博士の奥さんが猫のマルにエサをあげながらのんきに答えました。
扇風機で温暖化対策?
せいぜい近距離に風を吹かすだけで、温暖化対策なんてとんでもない。
「できたぞー!!!」
博士が叫びました。
「特別性のモーターを使用しとる。みんな、避難するぞ」
「避難?!」
研究所は周囲にのどかな田園風景が広がる、一種の陸の孤島ですが、博士たちは隣の県まで逃げてゆきました。
「スイッチオン」
うんうんうんうんうん…ずごごごごごご。
あっという間に、遥か彼方に竜巻雲ができました。
「これは…」
立野君は顔面蒼白になりました。
「博士。どのくらいの出力の扇風機なんですか?」
「高気圧発生型じゃ」
「なんですって!?」
「気圧を制御して温暖化を食い止める!」
「その前に僕ら死んじゃいますよ!すぐやめてください!」
「しかし、研究の一環じゃ」
「何言ってるんですか!死んじゃったら元も子もないですよっ!」
大事に至る前に扇風機はとめられました。
とんかんとんかん…。
今日は何を作ってるんだ?立野君は気が気じゃないです。