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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
OLレンジャーの友情!三樹の明日はどうなる?

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「それ、ほんとうですか?」

 和泉の声にも、わずかに力が入っていた。

「ほんとだよ。だって、その名刺、こっそり一枚もらってきたから」

と、名刺を指でもてあそびながら、さくらが答える。マジメそうなのは名前だけだな……などと考えながら。

「え?勝手にもらってきたんですか?」

 和泉の声に、さくらは一瞬ひるんだ。

「大丈夫だよ!だって、ほら仕事用の名刺だよ?もともと、人にあげるために持ってたんだから!」

「いや、そういう問題ではないと思いますが……」

「だって、もう、貰っちゃったし!」

「ですよね……。でもまあ、今回のような状況では、証拠としていただいておいたということで。それも正しい判断だったのではないかと思いますが……」

「さすがに、パスケースを持ってくるのはまずいから、劇場の人に渡してきちゃったけど……」

 さくらは、しばらく名刺をつついていたが、ふと思い出して手を止めた。

「ねえ、いずみん。このことさ、三樹ちゃん知ってたのかな?」

「彼氏さんが、既婚者だということですか?」

「うん……」

 さくらの声のトーンが下がる。

 さすがに、いつものようなご機嫌なテンションではいかないらしい。和泉も、こういう状況というのは、どちらかというと苦手な部類だった。三樹が、桐生という男と、どこまで進んでいるのかは分からない。分からないけれど、三樹という人物のこれまでの行動や、行動をともにしてきた自分の直感を、いったん信じてみることにした。


「ね」と、さくらが言い、

「おそらく」と、和泉が言った。同時だった。


「先にどうぞ」

 和泉が言う。

「ううん。あたしのは大したことじゃないから、いずみん、先に言って」

 さくらが譲る。和泉は少し考えるような間をおいてから、

「おそらく、知らないんだと思います」

 と、低いトーンで言った。

「三樹さんは、なんというか、ツメの甘いところがありますから。それに、少々舞い上がっていたようですし」

「うん、そうだね。三樹ちゃんって、しっかりしているようで、どこか天然っていうか……。それに、少々じゃなかったよ。だいぶ、舞い上がってたから」

 ふたりして言うことが厳しい。

「たぶん、三樹さんの中で、指輪をしていないイコール独身だったんでしょう。それに、今回の彼氏のようなタイプの男性でしたら、どちらかというと、既婚であることを、なるべく相手に気が付かれないようにふるまうでしょうし」

「いずみん、なんだか詳しいね」

「いえ、私の知識は推理小説で読みかじった程度のものですから。さくらさんほどではありませんよ」

「それ、どういう意味よ。さすがに、あたしも不倫だけはないんですけど」

 さくらの声が低くなる。

「すみません。言い過ぎました」


 また、ふたりの間に沈黙が漂った。今度はさくらがそれを破る。


「ね、そんなことより。三樹ちゃんに言う?」

「そ、そうですね」

 さくらが急に話題を戻したため、和泉は一瞬、ついて来られなくなった。

「はい、そのことについてなんですが……」

 和泉は、そのあとの言葉が出てこなかった。デリケートな問題につき、慎重に行動をしなくてはいけない、ということは分かるのだが、具体的にどうしたら良いのかが思いつかない。

「どうしよう。ねえ、いずみん!」

 さくらが落ちつかない。

「あの三樹ちゃんが、知らないうちに不倫してたことになっちゃうよ?絶対にそういうことする子じゃないのに!こうしてる間にも、もし二人で会ったりしてたら……。あぁ、もう!あたし、どうしよう……。そうだ、すぐにでも知らせてあげなくちゃ!あたし、今から電話するよ!」

「ちょ、ちょっと待って!」

 珍しく和泉が声を裏返らせた。

「どうして?だって、このままじゃ……」

 さくらが苛立っている。


「落ち着いてください」

 和泉の声のトーンが下がった。

「え?でも……」

「たとえ、あの三樹さんでも、急にそんなことを言われて、冷静にものを考えられると思いますか?彼女は、ほんとうに久しぶりに恋人ができたと思って、今まさに幸せの絶頂にいるんですよ」

「それはそうだけど……でも!そんな呑気なことを言ってる場合じゃなくない?もしも、このままふたりの関係が進んじゃったら、取り返しがつかなくなっちゃうんだよ!?だってほら、今は不倫相手も慰謝料を請求されたりするんだよ?三樹ちゃんは、騙されてるのに!そんなのって、おかしいじゃん!ダメだよ、絶対!あぁもう、三樹ちゃんに教えてあげなくちゃ……」

 さくらが電話を切りそうになる。

OLレンジャー仲間のため、電話で作戦会議をする、さくらと和泉。

話がまとまる気配がないが、大丈夫なのだろうか……。

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