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あたりが暗くなったかと思ったら、一瞬の後に、もといたスーパーマーケットの店先に戻っていた。
米いちゃもん男は、魂が抜けたような顔で突っ立っている。
「あ……あの……」
女性店員がおそるおそる声をかけると、米いちゃもん男は我に返った。そして、女性店員の前からよろよろと離れた。すっかり意気消沈している。
そこへ、OLさくらが微笑んで言った。ほんわかとした光に包まれた彼女は、さながらちょいエロの女神のようだ。
「このお店に文句をつける前に、お米の虫よけと米櫃を買って帰って、涼しいところに置いた方が良いよ。そういうことが普通にできる人って、ステキだと思うよ」
OLさくらがウィンクをする。
「はいっ」
米いちゃもん男が背筋をピンと伸ばして答えた。その瞳が潤んでいる。
(やれやれ)
OLさくらは心の中でベロを出した。
「虫がわいてしまった米は、平にして乾かせば、虫が出ていきます!」
OLオレンジが言った。メガネの奥の瞳が優しい。ほんとうに、宝塚の男役みたいだ。クールでかっこいい。
「はいっ」
米いちゃもん男が、こちらにも素直に答える。
「オッケー」
と、OLさくらが小首を傾げて微笑んだ。ローラか。
先ほどまで、女性店員と、米いちゃもん男のことを遠巻きに眺めていた客たちの間に、ようやく和んだ空気が漂い出した。
彼らのやり取りを目撃した後で、店に戻った人は、おそらくお米の虫よけを買いに行ったのだろう。分かりやすい。
米いちゃもん男に詰め寄られていた女性店員も、元気を取り戻して仕事を始めた。フレッシュな果物と同じで、その笑顔はきらめいていた。
OLレンジャーの三人は……と思ったら、OLピンクがまだスマホを見てにやついている。その肩をOLオレンジが小突いた。
OLピンクが、(いっけない)みたいな顔をした。
OLさくらとOLオレンジが顔を見合って、分かりやすいため息をついた。
改めて、OLレンジャーの三人は頷きあった。そして、一瞬の閃光と突風が出現。次の瞬間に、三人の姿はなくなっていた。
OLレンジャー3人……ではないな、2人の活躍により一件落着!
これからが本番♪




