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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
3人そろってOLレンジャー出動!

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三樹のもとに訪れた遅めの春は、満開の桜でピンク色に染まっていた。寝ても覚めても、桐生のことばかり考えてしまう。

桐生のために、ステキな女の子になりたいと願った。


(決して、女の子、などと言える年齢ではない……!)


そんな折、三樹のスマートフォンに、さくらからメッセージが入った。


「最近、出席率がよくないみたいだけど、どうしたの~?」

単刀直入な文章が、今の三樹には痛い。返答に困っていると、ピコンと音がしてスタンプが届いた。


変な顔のキャラクターが「大丈夫?」と聞いてくる。さらにピコン。


別のキャラクターが「話なら聞くよ?」と、見つめてきた。


出席率が悪いのは、特別な存在である桐生を最優先にしているためだ。オフの時間を桐生のために、取っておきたいためなのだ。


「ごめんね。男できちゃいましたー」って送る?

(いや、それだと根掘り葉掘り聞かれて面倒くさいし、下手したら電話がかかってくるかも)

(桐生さんから、電話がかかってきた時に、話し中だと辛い……)


三樹は当たり障りのない文面を選び出し、返信する。


「ごめん、仕事が忙しくて」


すぐに、さくらから返信。

「そうなんだー。まだ、しばらく忙しいの?」


ちらっと覗き見をするような表情のスタンプが表示された。


三樹は悩んだ。


スーパーのオープンは次の土曜日。だから、それに関係する仕事も、ひと段落する。


もちろん、それが終わっても、日常の業務は続いていく。今後も、残業をすることはある。だから、「仕事が忙しいせいでレンジャーに参加できない」というのは、嘘ではなかった。


ほんとうの理由は、もちろん、桐生のことだ。


正直なところは、ひと段落した後も、桐生と食事に行ったり飲みに行ったりしたかった。彼と一緒にいる時間を、なるべく取りたかった。


毎日、その時間だけが待ち遠しかった。一緒に食事をし、同じ電車で帰り、新百合ヶ丘のホームで見送られる。三樹にとっては、幸せな時間だった。


桐生といるときには、ピッチには出たくない。何者にも、この貴重な時間を邪魔されたくなかった。


でも嘘をつけない性格。根が真面目なのだ。


「週末には、一応、ひと段落だけど」

三樹は返信をした。


さくらは、これをどう受け取るのだろうか。間もなく、三樹の手の上のスマホがメッセージの受信を知らせた。


「そうなんだ!じゃ、土曜日の夜に久しぶりに集まろうよ!」


三樹は返信に困った。


(別に約束をしているわけじゃないけど……)

(でも、でも……もしかしたら……)


何があるか分からない。何があってもいいように、フリーでいたかった。


少し考えてから、無難な言葉で返信する。

「土曜日に何か連絡があったりするといけないから、今週はちょっとキビシイかも」


「そうなんだ……」と、さくらから返信。泣き顔の絵文字がついてきた。


三樹は少し、申し訳ない気持ちになる。


「来週は?」と、さくら。


正直、来週もフリーでいたい。いつ桐生から誘われても、万事オッケーな状態にしておきたかった。例え、それが食事だけのデートであっても、別件のために断るなどということはしたくない。


三樹は念のため、桐生との会話を思い出す。


「来週の土日は、珍しく前々から予定が入っているんだ」

と桐生が言っていた。


学生時代からの付き合いがある友人と、男同士でドライブ旅行に出かけるらしい。


「腐れ縁?って言うんだろうな、こういうの。たいして重要でもないから断っても良いんだけど、ホテルとか予約しちゃってあるらしくてさ」

と、申し訳なさそうに桐生が言った。


それでも、学生時代の友人の話をするのは楽しそうだった。三樹がニコニコしながら聞いていると、急に話をやめて「ごめん」と謝った。


「思わず、どうでもいい話しちゃったね」

と、照れくさそうにしている。


「そんなことないよ」

三樹は顔の前で手を振った。


学生時代の友人と、いまだに交流があって遊びに行くなんて、しょうじき羨ましさすら感じる。親友を大切にする彼に、ますます好意を抱くのだった。


このことを思い出して、三樹は返信した。

「土曜日なら良いよ」


日曜日は、友達と別れた後の時間を、自分のために割いてくれるかもしれない……という、淡い期待があった。


すると、ほどなくして返信が来た。

「じゃ、土曜日にしよう!」


さらに、「楽しみ」の意味のスタンプが表示される。こんな感じの流れで、来週の土曜日に女子会をすることになった。

桐生のことで、頭がいっぱいの三樹に、

久しぶりの女子会の誘い。

どうなる!?

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