表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
どうなる?干物女OL三樹の女子力UP大作戦!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/88

35

ふいに、耳の奥に、あのさわやかな声がよみがえってくる。

「町田主任」

と、彼が呼ぶ……。


(やだもー!彼とか言って、彼とか言って!三樹のせっかちさん!てへっ!)


アホだ。もう手の施しようがない。お釈迦様でも草津の湯でも治せないやつだ、これは。


こじらせ独女の心の中にひそんでいた乙女が炸裂しまくっている。


しかも、「三樹」とか呼ばれたんならまだしも、「町田主任」だ。すごく普通の、会社での間柄だ。


(でも違う、違うの!)


桐生に呼ばれるのと、ほかの人に呼ばれるのとでは、天と地との差だ。


あの声で呼ばれるから良いのだ。あの唇からこぼれる、彼の声だから、良いのだ……。


(そうね、ヒガシ君は爽やかで可愛いので、あれはあれで良いか……)

(それ以外の人から呼ばれても、はいはいって感じ。はいはい)

(とくに水沢とかね、ほんと……)


そう思うと、あの甘ったるい喋り方が耳によみがえって、気分が台無しになる。


(あーもう、今はそんなことを思い出してる場合じゃないのよ!)


心の中のクイックルワイパーで水沢を除去した。さっさっ。


そして、また、にやにやしながらハーブティーを飲もうとカップを口につけた。


空気しか入ってこなかった。


ひとりで勝手に、きゃっきゃきゃっきゃ盛り上がりながら、がぶがぶ飲んでいたので、知らぬ間に飲み干してしまっていたらしい。


せっかくの女子力高めの飲み物だったのに、もっと静かにゆったりと味わえば良かったのに……。


まるで宿さんと飲むビールみたいになってしまったじゃないか。どんな味だったか、香りだったか、ひとつも記憶に残っていない!


残念すぎる!


仕方がない、人はそう簡単には変われないのだ。ちょっとずつ、ちょっとずつ、変わって行こうとすることに意味があるのよ……なんて、自分を許せるのは大人の証拠。


腕時計を見ると、美容室を予約した時間が近づいていた。


最後に水を飲んで、席をたった。可愛い女性店員にお会計をしてもらうと、店の外に出た。


狭い空を見上げて、深呼吸をした。


(これから自分はちょっとだけ変わるんだ!)


そして、歩き出す。

ようやくゴールが見えてきた?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ