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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
恋するアラサー乙女のトキメキと憂うつ
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さて、いつも通りに電車を乗り換えて、会社に着いた。


(あれ!?いる……!)


驚くべきことに、またもや水沢杏が出社していた。


「おはようございまーす」

と、キャラキャラしている。朝からテンションが高い。


(まさか、二日連続で送ってもらったのか?高級車をお持ちのパパに?)


そんな三樹の邪推に気が付くはずもない水沢が、くるっと振り返った。その先に、あの桐生がいた。

「おはようございますぅ!」

水沢のキャラキャラした挨拶に、桐生が答えている。今日はスリーピースではなかった。でも、すらっとした体型によくあったグレーのスーツだった。


(やだグレー。まるでペアルック)


グレーのパンツをはいた三樹が勝手に盛り上がっている。


(恥ずかしい!でも隠しようがないし!どうしよう~)


そもそもグレーなんて無難な色、別にかぶったところで不思議でもなんでもないのだ。ダメだこれ、もうすっかり乙女になっちゃっている。年甲斐もなく。


「あれ?その腕時計カルティエじゃないですか?超かっこいいー。いいな、いいなー」

水沢が目ざとい。


「ありがとう。新しいモデルが出たから、つい買っちゃって」

桐生も嬉しそうに答えた。その腕がキラリと光った。確かに高級そうである。


「いいな、いいなー。カルティエ、あたしも欲しいなー」

水沢がルンルンと体を揺らしながら言った。小首を傾げて、上目遣いになっている。


(おまえは、おねだりさんか。おねだりする相手が違うだろ。お父ちゃんに言え、お父ちゃんに。あるいは彼氏に!)

三樹の胸の中がもやもやする。


「なんだ、あのふたり、すごくいい雰囲気だな」

と誰かが言った。それを聞いた、別の誰かが、

「職場のマドンナを取られちゃったな」

と、笑っている。


その言葉が、三樹の逆鱗に触れた。それはもう、動物を愛撫するときのムツゴロウさんみたいに、触れまくった。


よしよしよしよし、よーしよしよしよしよし。


怒りの炎がメラメラと燃え上がる。怒髪天をつくとはこういう状態だ。


無神経な軽口を叩く野郎どもに、かかと落としを食らわしたい気分だった。


桐生に対して媚を売りまくっている水沢に対しては、軽めの殺意すら覚える。


そして、心の中でシャウトする。


(私の視界から消えされ!ゲット・アウェイ!)


歪ませまくりのエレキギターかき鳴らしてギュイィィィィィイン!だ、コノヤロー!


すると、その時だった。


ふいに桐生がこっちを向いた。彼が振り返った軌道上に、きらきらきらきら……と光り輝く残像が見えた、気がした。

歪ませまくりのギターでスライドからのチョーキングだコノヤロー!

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