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OLさくらは合コンである。高校時代の「お友達」がお医者さんになったので、そのつてで実現した合コンだった。
どうして「お友達」なのかというと、実はさくらの元カレなのだ。さくらは、元カレと普通に友達づきあいできる女である。
そのために、今カノから嫉妬されて面倒くさくなることもあったが、そんなことはちっとも気にしていなかった。
今回の「お友達」は、高校時代に付き合っていたのだが、彼は親の病院を継がなければいけない立場でありながら、お勉強が少し心もとなかった。もちろん、平均よりは、だいぶ出来てはいたのだ。
だが、彼の毎日は受験勉強一色になっていった。その結果として、第二希望の医大に合格したのだが、さくらとは自然消滅的に別れていた。
別れてからも友達づきあいが続き、連絡も取りあっていた。彼が努力の末に医療の道に進むと、さくらはそれを祝ってやった。
そのため、来るメンズはすべてドクターである。そんじょそこらのドクターではない。私立の医大を出て、大学病院に勤めていたり、ゆくゆくは親の病院を継いだりしちゃうような人々なのだ。垂涎の的である。しかも、会ってみたら、みんな割とイケメンだった。
その中で一番にイケメンだったのは、さくらの元カレである「お友達」だった。
この男は、いつだって、やたらモテる。ちょっとチャラい感じがあり、とっつきやすそうに見えるらしいのだ。女にもお金にも困ったことがない。
しかし、さくらだけが知っている事実があった。集まったメンツの中で一番に向上心が少なく、ガツガツと上は目指せない男が、こいつだった。
高校時代には付き合えたが、今は論外だ。
結婚した後も、なんの志もないまま日々の仕事に流され、誘われるままに看護師と不倫するのが目に見えている。
このことは、他の女子メンバーには言わない。
さくらのお目当ては「お友達」の友達だ。
何も知らないライバルたちは、見た目に惹かれて「お友達」と仲良くしておけばいいのだ。
ここは戦場でもある。同性は全て敵にしかなりえない。どんな手を使っても出し抜き、蹴落とさなくてはいけない。
ここには、「戦友」などという言葉は存在しないのだ。
元カレも同じ目的で、さくらと一緒に合コンをセッティングしたのだ。
さくらが就職した先は、美人OLが多いことで有名な化粧品メーカーである。お互いに、もちつもたれつということで成り立っていた。
さあ、こんな重要な案件だから、絶対におざなりにはできない。
どんな呼び出しが来たところで、マナーモードにしてたせいで気が付きませんでしたー扱いだ。




