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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
ブルーな雨の朝だけどアラサー干物女いきなりの胸キュン予感!?

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(いつまでこの水沢劇場を観てれば良いんですかねー……)


シラケた気分で耳の穴かっぽじったり、鼻ほじくったりしたくなってくる。


すると、ふいにヒガシ君が急に振り返って言った。


「僕、初めて知ったんですけど、水沢さんて令嬢なんですね」


(れいじょう……令状?)


三樹の頭の中で、めくるめく世界が繰り広げられる。


化粧濃いめの女が、煙草を指に挟みながら

「ねぇ、これって任意よね?どうしてもって言うんなら、令状とってきなさいよぉ!」

と、刑事に向かって言い放つ。

「ふぅーっ」

とか言って、嫌味ったらしく煙を吐きかける。


ちょいと昔の二時間もののサスペンスドラマか。


それはさておき。


楽しげなヒガシ君の言葉が、三樹を現実に連れ戻す。


「ここに来るとき、会社のそばで見たんですけど、今日も、こんなすごい車で送ってもらって……いてっ!」


 水沢がヒガシ君をたたいた。


「あー!社内暴力だ!町田主任、これ社内暴力ですよね!」


 三樹が何かを言う前に。水沢がずいと割って入って声を上げた。


「うるさい!」

「うるさいって何だよ。先輩に向かって!」

「うるさいって言ったら、うるさいんです!もうっ!」


水沢の頬が膨らむ。唇がとんがる。


(はいはい。可愛い可愛い)

(いちいち可愛いアピール、どうもご苦労様)

(あー、超面倒くさい)

(水族館の海の仲間コーナーにでも入ってろ。このフグ女。自分の毒にあたってしまえ)


「聞いて下さいよ、町田主任。水沢さん車で送ってもらったんですよ。すっごくでかい黒塗りの。なんか、運転手とかついてそうな感じの」


 ヒガシ君が、ゼスチャーをまじえつつ、さも楽しそうに言う。水沢が不服そうに言い返す。


「だぁってぇ、パパがぁ……。雨だから乗っていきなさいって、聞かないんだもん。

あたしは恥ずかしいからぁ、いやだって言ったのにぃ。電車が止まったら困るだろ!とか言って。

あたし、地下鉄しか使わないから、しょうじき雨とか関係ないのに。パパって、あたしと違って、なんか変でぇ」


(おい、ちょっと待て。あたしと違ってっていうところが大いに引っかかるぞ。パパが変だっていうなら、それは明らかに遺伝している!)


三樹の心の声など、水沢が知る由もない。


「……っていうか、あたし、わざわざ、ちょっと会社から離れたところでおろしてもらったのに。もーヒガシ先輩、なんであんなとこ歩いてるんですか?」


「いやいや、出勤なんだからしょうがないじゃん」


「しょうがなくないですぅ。ほかの道から来てくださいよぉ」


「は?駅からここまで一本道だろ?どうやって他の道から来るんだよ」


「あっちのほうの橋まで行って、ぐるーって歩いて来れば良いじゃないですか」


「うそだろ?それって、すっごく遠回りになるよ。倍以上かかるし、ありえないって」


「じゃあ、もっと遅い時間に来るとか。むしろ、ヒガシ先輩の乗ってた電車が止まっちゃえば良かったのに」


「ひっでー!そんなことしたら会社に遅刻しちゃうだろ」


「そんなこと、あたしには関係ありませーん」


水沢がヒガシ君に向かって顔をしかめる。ヒガシ君が目を真ん丸に見開く。


「ていうか、なんで人に言うんですか?ひどすぎますぅ」


 すねる水沢を見て、ヒガシ君が笑っている。


三樹は、またしても遠い世界に取り残された気分になった。


世界というか、その外というか、成層圏よりもっと外っていうか……


(宇宙?そうだわ宇宙だわ。ここは宇宙。真っ暗な宇宙にひとり取り残された私。)

(たしか、そんな映画があったような。えーと、えーと……、そうだ、「ゼロ・グラビティ」だ。彼女はちゃんと地球に戻ってこられたけれど、私は戻ってこられるのかしら)


またもや、遠い目。

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